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上高地散策

長野県 上高地

2004.08.04〜06

高野一家




Text & Photo  : 高野

 長野県の穂高連峰、標高1500m付近にある高原一帯は上高地と呼ばれ、北アルプス登山への玄関口となっています。有名な大正池や河童橋があるところですので、皆さん、ご存知ですよね。
 私も知ってはいましたが、今まで行ったことはありませんでした。嫁さんは上高地がTVで紹介されるごとに、「行ってみたいな」と常々言っていましたので、今年のキャンプは上高地に決定です。

 早速、ネットで情報収集を始め、付近のオートキャンプ場を探します。インターネットを使えるようになって、ホントに便利になりました。今までは情報誌を買ったりして、様々なものを見つけていたのですが、今は「上高地 キャンプ場」などと入れてググって(検索エンジンGoogleで検索することをググるという)みれば、一発で欲しい情報を手に入れられます。余談ですが、インターネットの性格上、その情報が正しいかどうかは定かではありません。身元不明の人が載せている情報ですので、中にはいいかげんなのもあります。ほとんどは善意で正しい情報を載せていますが、いくつか拾ってみて正しいかどうかは自分で判断するしかありません。以上、今週のインターネット検索術でした。では、また来週・・・。って、終わりかよ! じゃなくて、そうやって今回の「平湯キャンプ場」を見つけました。

 上高地にはマイカー乗入れ禁止ですので、バスかタクシーを利用しなくてはならないのですが、平湯キャンプ場はそのバスターミナルまで徒歩10分くらい。キャンプ場に車を置いていけますから、駐車料金も節約できます。おまけに歩いて5分ほどのところに「ひらゆの森」という温泉(日帰り入浴は大人500円、平湯キャンプ場で割引券を買えば400円)もあり、最高の立地です。

 さて2日目の朝、ゆっくりと朝食をとってからバスターミナルへと向かいます。天気はピーカンで、すがすがしい高原の朝って感じです。
 平湯バスターミナルに着き、往復チケットを買ってバスを待ちます。チケットを買っているときにちょうど1本バスが出発してしまい、次のバスまで20分くらい空いてしまいました。
 やってきた次のバスは満員で補助席になってしまいました。でも必ず座れる人数しか乗せません。逆に言うと混雑時は何本か待たないと乗ることができませんので、ご注意を。

 バスは安房トンネルを抜け、上高地への道を登っていきます。今回の予定コースは大正池バス停で降りて、河童橋までを歩きます。大正池から河童橋までは大人の足で1時間くらいのようですが、うちには4歳児がいますので、ゆっくりゆっくり歩くつもりですので、3時間程度と見込んでいました。バスは20分ほどで大正池に到着。ぞろぞろと結構な人数が下車します。
 建物のすぐ脇から始まる道を下ると、目の前にドーンと大正池が広がります。写真で見たりして想像していたものより、ずっと広い池です。大正池のシンボル、立ち枯れた木もあります。でもこれらの木は年々少なくなって、いまでは少ししか残っていません。自分のイメージの大正池は幻想的な感じだったのですが、実際にはボートが浮かび、観光客が大勢いて、単なる池って感じで、少しガッカリです。
 この大正池、大正15年の焼岳(2,455m)の噴火によって流れ出た泥流が梓川を堰き止め、一夜にして出来上がりました。しかし年々梓川の土砂で埋まり、徐々に川へと姿を変えていっているそうです。それを防ぐためと発電にも利用しようと「大正池堰堤」が作られ、冬場には浚渫(しゅんせつ)工事まで行われています。
 ここには鴨が沢山いて、観光客にエサをねだっていました。

大正池と焼岳
焼岳の雄姿 立ち枯れた木が神秘的な大正池

 さて、大正池を後にして遊歩道を歩きます。それにしてもやたらとザックが重たいです。家族5人分のオニギリやペットボトル、レインコート、そして一眼レフカメラと大口径望遠レンズ。10kgは行ってそうな感じです。これで末っ子の翔平が抱っこと言わなければいいのですが・・・。おそらく、いや絶対言うでしょう。

 遊歩道は森の中を抜けて行きます。強い日差しは木々にさえぎられ、心地よい風が吹きぬけていきます。気温は高いのですが、都会とは違ってここは標高1500mの上高地です。ジメジメ感もなく汗は出てきません。
 森の中の遊歩道はときおり木橋を渡ります。ふと見るとユラユラと泳ぐ魚の姿があります。「おぉ!? 岩魚か?」と思いよく見ると、背びれの模様が違います・・・。「んだよ、カワマスか?」 自然を守るために永年禁漁やマイカー乗入れ禁止までしているくせに外来魚が泳いでいるなんて、どこか変です。途中何尾か見かけましたが、どれもカワマスっぽかったです。

 しばらく行くと田代湿原に着きます。奥には田代池があり(ここも年々埋まってしまい、今では川みたいなもの)美しい風景に見とれて、しばらく休憩しました。流れに手を入れてみるととても冷たく、痛くなるほどでした。

田代湿原
清冽な水を湛える田代池

 田代湿原を過ぎると道は林間コースと梓川沿いのコースの二手に分かれます。釣り師の私としては当然梓川沿いの道を行きます。
 先ほどまでいた団体の観光客はどんどん先に行き、だいぶ静かになってきました。梓川の川原に出られるところで昼飯にすることにして、腰を下ろします。
 子供たちは早速靴を脱いで川に入りたがっているので、好きにさせます。すると石拾いを始めたのですが、拾うだけならいいのですが、持ってかえるだなんて・・・。またザックが重くなるだろ! でも、水はかなり冷たいようで、さすがの子供たちもずっとは入っていられないでしょう。適当なところでやめさせてオニギリを食べさせ出発です。

ここにも鴨がやってきた
美しい梓川の流れ
梓川沿いに腰掛けてオニギリを頬張る

 道は田代橋で梓川を渡り、右岸に変わります。ここから先はホテルが立ち並び、いかにも観光地といった雰囲気になるので、あまり面白くありません。日本に近代登山を広めたW.ウェストンを記念して作られたウェストンレリーフを左手に見ながら歩けば、河童橋はもうすぐです。ですが、この辺りは日陰が少なくちょっと暑く、子供たちは疲れ気味。ここでやはり出ました、翔平の「抱っこして」。「お前なぁ、重たいんだから歩けよなぁ」 しばらくは先に行って木の後ろに隠れたりして騙し騙し歩かせていたのですが、もう限界。しかたないので少しだけ抱っこしてやります。10kgのザック+16kgの翔平。ズシリと足に来ます。

田代橋からの梓川の流れ
          田代橋にて

 適当に誤魔化して再び歩かせ、ようやく河童橋に到着。ここはバスの終点ということもあり、観光客でごったがえしています。河童橋を渡るときに橋が揺れ、翔平がビビっています。「こんな立派な橋、全然平気だろうが。」普段は結構無茶をしてますが、どうもこいつは高いところが苦手のようです。「そんなんじゃ越後荒川の吊橋なんて絶対渡れないぞ!」

 橋を渡ると目の前に五千尺ホテルがあり、その横の売店でアイスクリームを食べ、上高地散策は終了しました。ここまで予想通り3時間弱掛かっています。ただ、大正池から河童橋の間は平坦な道ですので、時間さえ掛ければ子供を連れてでも歩けます。距離にして4km弱くらいでしょうか。健康な大人なら楽勝の道でした。
 今回は上高地のほんの入り口しか歩けませんでしたが、次は河童橋より上を歩いてみたいと思っています。

 最後に注意点を。帰りのバスは大正池でも乗れるのですが、ほとんどが始発の河童橋を出るときに満員になってしまいます。そうなると大正池バス停でいつまで待っても乗れない可能性があります。大正池から河童橋までの散策をしたい場合は、大正池を出発点とすることをお勧めします。


田代橋を渡り梓川沿いを歩く
有名な河童橋
河童橋上流より穂高連峰を望む

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