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 雪代流れる渓

  長野県 千曲川水系 神川、角間川

  2000.03.25

  奥田秀朗、中村敏之、田辺哲、高野智

Text&Photo :高野 智 

まだ大宮も出てないのに・・・

 3月も後半になり、関東では殆どの渓が解禁となった。今シーズンは山形から始まったが、残念ながら満足のいく釣果は得られず、季節は本格的な春をむかえようとしている。

 そろそろ渓道楽のメンバーもストレスが溜まってきたころだろうと、いつもの連中に声をかける。今回は新会員の奥田氏も加えての4名での釣行となった。

 問題はどこに行くかだが、日帰り圏内で実績のある渓というのもあまりない。新規開拓ということで長野に行くことになったが、まさか雪が降る中での釣りとなるとは思いもしなかったのである。

 田辺氏、中村氏をピックアップして、奥田氏の待つ坂戸市に向かう。ところがアクシデント発生。まだ大宮市も出ていない所だというのに、四駆にオカマを掘られてしまった。幸いにも背面スペアタイヤに軽くあたっただけで被害がなかったのが不幸中の幸いだった。やはり、これは今日1日を暗示する出来事だったのだろうか。

雪だよ・・・

 坂戸で奥田氏を拾い目的地をめざしひた走る。高速を降りて山に向かうが、なんと雪が降ってきた。春の日差しの中での釣りという希望は、無残にも打ち砕かれた。道路は完璧に雪を被り、このまま行っても目指すポイントでは竿を出すのは難しいだろう。おまけに雪代で渓は増水している。

 あきらめた私たちは、次なる渓を探してウロウロ。

 どうにか入れそうな渓を見つけ、準備に入る。そのとき中村氏が「あ゛〜!」と妙な声を上げる。どうしたのかと思えば「ウェーダーのフェルトが・・・」 無残にも半分ほど剥がれている。「こりゃ、雪で張り付いて全部剥がれちゃうぜ」と言ったとおり、中村氏のウェーダーは渓に降りる前に両足ともフェルトが剥がれ、地面に張り付いていた。

 渓に降りると早速仕掛けを繋ぎ釣りはじめる。が、雪代は渓いっぱいに流れ、竿を出すようなゆるい流れは少なかった。

 アタリもないまま4人は釣りあがる。雪代のせいで対岸に渡ることもできず、先頭を交代しながら進んだ。この辺りは典型的な里川で、しっかりと護岸されていて、釣趣の面から言ってもあまり良いとは言えない環境である。まして釣れないとなると、私たちの集中力はどんどん落ちていく。

 遡行できなくなったので一度道路に上がり、橋のたもとから再び渓に降りる。私が滑りそうな雪の斜面を降りていると、「きたっ、きたっ」と中村氏の声が響いた。「なに、なに、何が釣れたんだ」と駆け寄ると7寸くらいのヤマメであった。4人でやって、ようやく釣れた1尾である。早速写真を撮ってリリースした。ここからが本番だとばかりに全員が色めき立ったが、その後は同じようなタルミにエサを入れるも、全然アタリ無しだった。


4人で釣って、やっときた1尾のヤマメ

まさに冬そのものの渓
空からは雪が舞う・・・

角間川ならば

 こりゃ、もうダメだよと次の渓を探す。どうにか雪も止み、もっと上流がいいのではと角間川を目指し車を走らせる。道は集落を抜けて林道のような狭い道に入っていった。
 車が止められそうな所を探し、二手に分かれて入渓することにする。私と奥田氏、ナベちゃんと中村氏の組み合わせで渓に降りた。

 降りたところで早速奥田氏の竿が曲がる。釣れたのは6寸程のイワナである。「こりゃ、いい渓じゃん」と張り切るが、その後はアタリも無し・・・。渓相はいいのだが、温泉のせいか岩が茶色というか錆びたような色をしていて、水の色も悪い。
 ときおり日差しも水面を照らし、まばゆい輝きを放つ。風が吹くと木々の梢から雪が舞い、幻想的な世界を演出する。
結局温泉のところまで釣り上がり、時間となったので納竿とした。


雪の角間川に竿を出す奥田氏

雪も止み太陽の日差しが川面を輝かせる

 車に戻るり2人の釣果を聞くと、なんとナベちゃんが8寸強のイワナを出していた。中村氏は7寸だと言うではないか。結局釣れなかったのは私だけのようだ。
「まあ、こういうこともあるさ」と温泉に向かう。さすが、奥田氏お勧めの湯とあって、なかなか良い湯だった。これで500円は安い!前回の山形で入った500円の湯と比べると月とスッポンである。同じ公共の施設なのに、この差はなんなんだ。

 横川のSAで昼寝のあと、奥田氏のホームグランドに入渓してみることにする。だが、先行者もいて、おまけに水が少ないとあって誰の竿にもアタリが無く、家路を急いでインターチェンジからアクセルを踏み込んだ。


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