群馬県と長野県の県境の尾根から流れ出す神流川は、多くの流れを集めて坂東太郎(利根川)に流れ込んでいる。その源流域は交通の発達した現在でも秘境と呼べるほど山深いところであるが、首都圏から近いこともあって多くの釣り人が訪れるため、魚は比較的釣られている。
午前3時頃に入渓地点に到着した。ヨタカだろうか「ピョーピョー」という鳴き声が谷間に響いている。空を見上げると何万もの星が瞬いている。久しぶりに見る天の川。都会に住んでいるとこんなにも星があることなど忘れている。
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久しぶりの渓に心が躍る
はやる気持ちを抑えて竿を出す瞬間
最高のひととき |
渓を流れる清らかな水
いつまでも清いままでいてほしいと渓流師は願う |
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「木化け石化け」岩陰に身を隠し魚信を待つ
人気の無い源流部とは言っても林道が通って
いるため、誰も入っていない訳ではない
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美しい岩魚との出会い
笑顔が嬉しさを物語る |
ゆっくりと渓を釣り上がっていく。
真夏だというのに渓の朝は肌寒い。だいぶ人が入っているのだろうか、アタリが少ないのが残念だ。
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自然の全てが息づく
渓に咲く清楚な花に虫たちが集まる |
木々の切れ間から覗く空は真夏の装い
峰々でちぎられた白い雲がゆっくりと姿を変えて
流れていった |
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流れ落ちる小さな滝
水は岩を削り押し流し、渓を形づくって行く |
流れる水の中にそっと竿を出す
岩魚との静かな駆け引き |
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源流の釣りはただの釣りにあらず
自然の懐に抱かれて自然と一体になる |
あどけない顔の7寸岩魚
この渓で産まれ、この渓で育った
はるか太古のときから繰り返される「いのち」の流れ |
この辺りは伐採された木も見られるが、植林されていないので原始の渓が残っている。美しい原生林に囲まれた渓を釣り上がるのは最高の気分転換となる。
あまりにアタリがないので何時の間にか魚止めを通り過ぎてしまったのかもしれない。流れもだんだんと細くなってきた。この辺で戻るとしよう。
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緑の天井
ふと見上げると幾重にも重なった葉を通して、
陽の光が射し込む
美しい原生林は命の源 |
岩肌を流れ落ちる滝
いく筋もの流れは簾のよう |
午後は場所を替えて山女魚と遊ぶ。産まれたばかりの小さな山女魚たちが、しきりにアタックしてくる。 自分の口より大きなハリに飛びつく山女魚たち、彼らは生きるために必死なのだ。
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真夏の渓に毛鉤が踊る
彼の振る毛鉤は魚達にはどう見えるのだろうか |
美しい山女魚
素敵な衣を身にまとう渓流の女神たち |
先行する中村氏を追いかけて行くと小さな落ち込みへと続く溜まりが目に付いた。餌を流すと微かなアタリ。アワセると流れに乗って下流へ走る。竿に伝わる重さが今日一番の良型ということを教えてくれる。
抜き上げると久しぶりの良型であった。
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風格すらある8寸ヤマメ |
顔だけ見ると、まだあどけなさが残る |
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