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黒部、平の小屋釣行 富山県黒部川 平の小屋周辺の渓

2002.08.11〜13

渡辺副会長、瀬谷進一、中村敏之、紺野哲雄


Text   :紺野哲雄
Photo  :瀬谷進一

 お盆休みが近づいてきたある日、副会長から電話がかかってきた、内容は「黒部に瀬谷君と中村君と行くんだけど、一緒に行かない?」と言うものだった。何ともありがたい話だった。しかし、この頃疲れ切って駄目人間になっていた私は、土曜まで仕事で、その日の夜出発ということもありちょっと迷ってしまった。
 そうそう、女川以来一ヶ月ぐらい釣りに行っていなかった。ともかく仕事が忙しくてどうしようもない。会社と家を行ったり来たりで、毎日酒ばかり飲んで過ごしていた。そんな時だったけど、せっかくの機会を棒に振るわけには行かないと思いメンバーに入れてもらった。
 それから出発日迄の間も、相変わらずの駄目人間状態で何もやる気が出ない。仕事から帰るとだいたい十一時頃で、風呂ぐらいは行くのだけれど、気がつくと酒ばかり飲んでいた。こんなんでホントに行けるんだろうか、土曜日の仕事は終わるんだろうか? だんだん心配になってきた。
 釣行の計画も詳しくは聞かないまま当日が来た。せっかく送ってもらった中村さんからの釣行計画のメールにも気がつかなかった。ホントどうしようもない、失礼しました。

 集合場所の副会長の家につくと、中村さんと瀬谷さんも、もう来ていてパッキングをしていた。食料などの用意も全部してもらい、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
 初対面の瀬谷さんに自己紹介すると、瀬谷さんはいきなり中華鍋をかぶりヘルメットときた。いきなりでビックリだったんですけど、とてもよく似合ってました。その中華鍋は、瀬谷さんのザックの後ろにくっ付くことになった。
 パッキングもだいたい終わりルートを確認すると、七時間ぐらい歩く予定らしい??? ここで自分は、なんかおかしいと思った。実は自分、一泊のつもりで来ていたのだが、実は二泊だった。こんなんでいいんでしょうか? すいません。どうも上廊下の方まで行くらしい事を聞くと、なんか気合いが入ってきた。と同時に疲れが溜まったいたので七時間も歩けるか不安になってきた。ここで副会長が情報収集のため川上顧問に電話をすると、そんなのハイキングコースだとの事で、なんだか元気が出てきた。いっそのこと上廊下に入っちゃいましょう! そんな気になってきた。
 だいたい用意が出来て、いざ出発。中村さんと瀬谷さんが仕事だった僕を気遣ってくれ二人で運転してくれたから、自分は甘えて寝てしまった。

 扇沢には結構早く着き、車の中で仮眠をとった。三百台程停められる駐車場はすでにほぼ満車で、そのほとんどが観光客だと思う。その次に多いのが登山者で、釣り人はそんなにはいないんじゃないかと思う。
 朝になりトロリーバスの乗り場に向かう。観光客に混じり十五分ほどバスに乗ると黒部ダムに出た。ダム上に出るとやっぱり黒部、とても涼しい。都心より十度ぐらい気温が低い様な気がすると、茨城県人の自分が思う。ダムは観光放水と思われる放水をしていた。ここで記念撮影をしていよいよハイキングコースへと突入した。

 途中途中休憩を取りながら先を急ぐ。「ロッジくろよん」あたりまでくると、観光地の気配は無くなってくる。水場は結構あり、所々休憩を入れる。だんだんと登り下りが増えてきて、所々梯子が出てくる。とても楽しいハイキングコース? どうやら我々の荷物は重すぎるようだ。行き交う人たちは50〜60リッターぐらいのザックの人が多いのだが、我々は70〜80リッター。これではペースは上がらない。と言うわけで奥黒部ヒュッテをあきらめて平の小屋周辺にテン張ることに予定変更し、のんびりと平の小屋に到着。ここで大休憩を入れる。早速小屋前にある小さな生簀を覗き込むと、岩魚とニジマスがいた。もう一つの水溜めには冷えたビールとジュースが浮いていて600円でビールを買って乾杯した。
 平の小屋は新館が出来ていて来月から新館でのオープンになるそうで、現平の小屋は取り壊されてしまうそうです。その小屋の前で記念撮影。自分のデジカメはここでバッテリー切れ。中村さんはデジカメを車の中に忘れてしまい、残るは瀬谷さんの使い捨てカメラだけが頼り。中村さんは大事な餌と食事用の肉も車においてきてしまったようで、釣りも食事もピンチだった。
 休憩をしていると湖面の方から声が聞こえる、きたーとか、でかいとか言ってるようで釣りをしてるらしい。むずむずしてくる。ここで我らも話し合いの結果ヌクイ谷に降りてテン張ることにした。テン場まではすぐについたが、水場が遠いので辺りを探してみていると、雨が降り出してきた。
 戻ってみると瀬谷さんだけがテントを張っていて、テントの中に入っていた。テントの中から「蒸し風呂だー」と声が聞こえる。
 雨が強いためキャンプをあきらめて小屋に泊まることにする。宿泊料は素泊まり一泊5500円。まあしょうがないですか。
 部屋に入ると合い部屋で先ほど釣りをしていた二人組がいて、小屋の下の湖面でルアーでガンガン釣れるとのこと。彼等は明日帰るようで余った餌を分けてくれた。
 部屋でまったりしていると晴れてきたので、テントの回収をかねて瀬谷さんと二人でヌクイ谷へ釣りに行く。瀬谷さんはフライ、自分はテンカラと二人とも毛鉤で攻める。
 ヌクイ谷は、小さな渓でゴーロ帯が延々と続いていた。何度かあたりはあったが鉤がかりしない、どうもチビばかりの様子だった。早々に釣りをあきらめテントを回収して小屋に戻る。
 小屋が近づくとカレーの臭いがしてきた。副会長と中村さんが飯の用意をして待っていてくれた。小屋の前のテーブルで飯を食って、宴会。いつもと場所が違っても、焚き火が無くても山での夜は楽しいもんです。こんな時間があるから、飽きずに何回も山に行ってるような気がします。

 翌日は「平の渡し」の船に乗せてもらい、針ノ木谷へ中村さんと瀬谷さんと三人で入渓した。こちらもゴーロ帯が延々と続く。黒部といえどもお盆ともなれば激戦区なのか、何人かの釣り人と行き交う。釣れる気配も無いし、お昼も近いと言うことで昼飯タイム。持参したビールとウイスキーを飲み少々の昼寝。こんなんでいいんでしょうか? こんなんがいいんです!って俺だけかな? やるときはやりますよ、てな感じで釣果は0。船着き場に戻り又昼寝。

 ウトウトしていると渡し船がやって来る、少々遠周りしながらゆっくりゆっくり釣りをしながら?やって来る。そう、船長は釣り名人の佐伯さん。なんと佐伯さんは渡し船を運転しながらロッドを片手にトローリング! かかったものなら手放しどころか、甲板まで出てきてしまう。何とも豪快。これも黒部ならではでしょう。
 船が到着すると甲板には二匹のニジマスがいた。戻りの船が動き出すとまたやっている。間近で見学、竿が小刻みに動いた。来た! 佐伯さんはタバコをくわえながら出てきた。船はニュートラルにしてあるようだが進んでいる。どうやら前の二匹よりでかいようだ。でかいですかと聞くと「元気はいい」とのこと。上がったのは40センチ近いニジマスで、黒部のニジマスはとても綺麗だった。こんなん見てしまったら、釣気も出てくるってもんで、到着してから湖面を攻める。しかし、テンカラの僕はすぐに飽きてしまった、瀬谷さんはフライで攻めている。中村さんは岸づたいにどんどん遠くに行ってしまい、とうとうヌクイ谷の流れ込みまで行ってしまった。ふと中村さんの方を見るとこっちに向かって走ってくるではありませんか、これはきたなと思った。あまりにも遠かったため中村さんは歩きになって到着した。「あっちいるよ」との事。中村さんも餌を持ち三人で流れ込みに向かう。到着して釣り再開。しばらくすると中村さんにきた。腰を落とし竿を立てるも上がらない。竿は弓なりで後ろに反ると魚はだんだんと寄ってきて、バシャバシャっとついに水面に顔を出す。太い! 陸に引き上げ大きさを測ると38センチ。
 再び釣り再開。中村さんにあたり。腰を落として合わせる!ぴしっ!飛んだ!今度は10センチぐらい。結局今釣行はこの二匹。毛針では残念ながら釣れなかった。

 その夜も平の小屋に泊まり。翌朝、来年こそは上廊下と言う思いを胸に平の小屋をあとにした。

 そうそう最後に扇沢のおみやげ屋さんで、瀬谷さんに「おやきのところの、おねーちゃんかわいいですよ」と言ったら一緒に写真録ろうかって始まっちゃって、瀬谷さん彼女にお願いしにいっちゃったんですよ。最後まで瀬谷さんには、ビックリさせられました。


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