HOMEBACK
新潟県 只見

2003.08.17

川上、高野、中村










Text  : 中村 敏之
Photo : 中村 敏之、高野 智

 毎年、お盆の時期になると川上さんは只見方面へ夏キノコを採りに行っているようなのですが、今年は我々渓道楽に声が掛かりました。
 当日、根がかり会員の金子さんの家に川上さんを迎えに行くと、根がかりクラブの人や近所の人々を集めた岩牡蠣パーティの真っ最中でした。当然のことながら川上さんは、しこたまお酒を召し上がっておられ、すこぶるご機嫌でした。「せっかく来たのだから食え食え!」と勧められるままに私たちもご相伴に与り、岩牡蠣や鮎などを遠慮なく頂きます。
 散々飲み食いした後「では、そろそろ…。」と腰を浮かすと「雨続きのこんな陽気じゃキノコなんか出ていないって!止めとけ、止めとけ。」と根がかりクラブの面々に口々に引き止められましたが、強引に菖蒲町を出発いたしました。

 予定通り夜明け前に只見に到着しましたが、釣り人銀座の只見らしくアブが大発生している時期だというのに川に沿って釣り人の車が既に点々と止まっています。別に先行者争いをしていた訳ではないのですが、何となく出遅れた感がするのは気のせいなのでしょうか…。(因みに我々が目指している所にアブはいませんでした。)
 本日のメインはチタケという事でもあり、先行者争いをするほどの場所でもないので、暫く仮眠を取ったあと出発します。が、川上さんは夕べお酒が過ぎたらしく真青な顔をしていて絶不調の様子。車中での時間も含め3〜4時間の仮眠では酒は抜けなかったと見え、息も絶え絶えで登山道を登って行きます。30分も登った頃でしょうか、とうとう川上さんがギブアップしてしまいました。ドカッと地面に腰をおろすと『うげえっ』とやっています。暫く休むと川上さんも回復しましたので、じっくりチタケを探しながらゆっくりと先に進みます。
 ですが、やはりこの長雨の影響なのでしょうかチタケはおろかキノコはほとんど出ていません。それでも幾つか食用キノコを発見しましたので、ありがたく頂戴いたします。

チョコンと顔を出したチタケ 今年は冷夏の影響からか、とても少なかった
秋にも採れるが、基本的に夏キノコ 傷をつけると乳のような白い汁が出るので乳茸という
タマゴタケを手にする川上顧問 キノコ目になり地面を舐めるように探す
素晴らしいブナの森
沢山の恵みを与えてくれる
登山道を行くと突然視界が開け、神秘的な池が現れた
辺りを包む静寂、そして鏡のような水面

 車止めを出発して約2時間、左程チタケを採れないまま釣り場に到着してしまいました。ここからは岩魚釣りに切り替えて遊ぶ予定なのです。「手前の空き地でHP用の写真を撮影する。」と言う川上さんを残し、我々は勇躍入渓いたします。雲行きが怪しいので事前に申し合わせた通り本流と沢に分かれてすぐに釣り始めます。が、なんたることでしょう入渓して10分も経たないうちに大粒の雨が落ちてきてしまいました。雨がパラパラ落ちる中、沢を釣り上りますが、川上さんの言う通り釣れる岩魚の型は小さく6〜7寸といったところ…。しかも数が出る訳でもない、というかほとんどアタリもありません。
 沢の水量が少なく大物は期待できない上、アタリもあまり無いのでは釣っていて面白くないので沢を釣るのを止め、本流の様子を見に行くことにします。
 出合まで戻り暫く遡行すると竿を出している高野きゃんに追いつきました。釣果を尋ねると私と似たり寄ったりだと云います。「本流も釣れないんだ〜。」と言いつつ交代で竿を出しますが今度はアタリすらありません。後で川上さんが言うには「お盆休みにかなりの入渓者があったのではないか?」とのことなので、いつもはもう少し釣れるようです。

ひっそりと流れ落ちる渓流
この流れにも岩魚は生きている
  誰も居ない静かな渓に竿を出す

 まるで釣れていませんが雨が強くなったので納竿し、川上さんの待つ空き地に引き返します。空き地に戻ると川上さんはタープの下で雨をしのぎながら暇そうにしていました。一服した後撤収という段になってカッパを忘れたことに気が付いた川上さん、やおらタープを体に巻き付け紐でギュッと縛って一丁上がり、格好はちょっと違いますがイメージ的にはまるで三面の仙人です。この格好で川上さんは車まで戻るつもりなのです。私は帰り道に誰とも会わないことを祈るばかりです。何故ってこんな異様な風体の人物と山の中で出会ったら、誰だって激しく驚くのは目に見えているからです。でも、心配をよそに、誰とも会うこと無く無事車まで戻ることが出来ました。恐らくは雨が降り出したので登山客などが引き上げてしまった為なのでしょう。ヨカッタ、ヨカッタ。

仙人出現!?
怪しい、怪しすぎる・・・
チタケの天ぷら

 HOMEBACK