渓道楽創設前からの友人ナベちゃんが神戸に転勤になって、もう3年になるだろうか。ナベちゃんは渓での苦楽を共にした大切な友人の一人である。
初めての源流行で八久和山越えルートに挑み、バテバテになった私を励ましてウシ沢を下降してくれたり、帰りの登山道で膝が逝ってしまった私を見捨てずに助けてくれたりもした。また大井川の支流では一緒に竿を出し、こんなに釣れちゃっていいの?というくらいの大釣りもした。他にも解禁直後の山形で、雪の残る中、全然釣れなくても笑い転げながら遊びまわったり等々、ナベちゃんとの釣行は思い出に残るものばかりである。
そんなナベちゃんとも、ここ何年かはスケジュールが合わず源流で遊ぶことができなかった。ナベちゃんがいなくとも源流に行けば楽しいのだが、何か物足りないと感じでいたのも確かである。
8月もお盆を過ぎたある日、ナベちゃんから携帯に電話が入った。
「今年はまだ1尾も岩魚釣ってないんですよ。もうストレス溜まりまくりです。どこかブナの森で遊びましょうよ。」
あの釣りバカであり、ブナの森と岩魚釣りの大好きなナベちゃんの頼みとあらば断れない。私は二つ返事で釣行を決めた。
8月28日の未明、2人で交代で車を走らせて、秋の気配が漂いはじめた車止めに着いたのは午前5時。空は白々と明けてきてこれから始まる釣行に胸がわくわくした。
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車止めまでこの格好で来る人も珍しい |
だが今回の釣行、ひとつだけ心配なことがあった。台風が接近してきて、山形の天気予報も週末に近づくにつれ、どんどん悪くなってきていた。晴れ時々曇り、降水確率20%くらいだったのが、週末になると70%くらいになっていて、やっぱりナベちゃんは雨男なのかと、ナベちゃんと釣りに来たのを半分くらい後悔していたのだ(笑)
しかし予報と違って車止めには朝日が差し、雲もほとんど無い夏空が広がっていた。最近は渓道楽ならぬ雨道楽などと、あちこちのホームページで噂され、釣行の誘いもだんだん減って来た気がしていた。ここらへんで汚名を返上しておかないと来年誰も誘ってくれなくなるのではと、正直心配だったのだが・・・。これならば大丈夫だろう。
着替え終わった2人は重たいザックをヨッコラショと背負い、杣道へと足を踏み出した。今回のアプローチも例によって山道をエッチラオッチラ登るという、もっとも苦手なパターンだ。じゃあどんなアプローチならいいのかと聞かれると返事に困ってしまうのだが、要するに基礎体力が無いので、基本的にアプローチはどれも苦手なのである。
ナベちゃんが愛してやまないブナの森。関東に多い杉の植林された森とは違って、フカフカの腐葉土と、そこに蓄えられている水。そのせいなのだろうか森の空気はしっとりとして湿り気を帯び、人をやさしく包み込んでくれる。これは杉の植林地には無い感覚である。杉の森はどこか埃っぽいような気がしてならない。ブナの天蓋から差し込む木漏れ日は光のカーテンを作り出し、見る者の心を感動させたりもする。
そんなことを思いながらゆっくりと歩いていくと、やがて杣道は急激に高度を上げ始め、心臓がバクバクと破裂しそうな勢いで血液を送り出しはじめた。そして酸欠の金魚みたいに口をパクパクさせ、少しでも多くの酸素を取り込もうと無駄な努力をする。全く情けないことである。こんなことなら普段から運動しておけばなぁと毎回毎回思うのだが、街に帰ればそんなことはすっかり忘れ、堕落した生活を送ることの繰り返し。要するに弱い人間なのだ。それでも源流が好きなのだから始末に負えない。
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玉のような汗が流れ落ちる |
だらけた体が早くもバテ始めた |
あえぎながらゆっくりと登っていくと、道はようやく水平に近くなり、早鐘のように鳴っていた心臓もどうにか平静を取り戻す。稜線から見える景色を期待してきたのだが、残念ながら見晴らしはほとんど利かず、細い踏み跡を眺めながら俯き加減で歩くしかなかった。
ルート図によると稜線から道が分岐して渓へと下っているようである。私たちは分岐を見過ごさないように注意して歩いた、のであるが分岐点までの参考タイムの時間を歩いても道は一本のまま。そのままどんどん下っていってしまう。
「このまま進んじゃっていいのかな? このまま行ったら振り出しに戻っちゃう気がするんだけど。」
地形図も持っているのだが、読図力もろくに無い人間にとっては、まさに猫に小判。二人してあぁでもない、こうでもないと悩むだけである。時間だけが無駄に過ぎていく。
「こりゃ元来た道を引き返して、もう一回探すしかないな」
せっかく来た道を稜線に上がったところまで引き返す二人。今度は注意して分岐点を見つけてやるぞと目を皿のようにして探すのだが、まったくそれらしいところは無い。ということはまだ分岐点まで行ってなかったのかと、今度はもう少し先まで行ってみた。しかし道が無くなってしまう。
「こりゃどうなってんだよ。多分あの山がこれで、あっちがこれかなぁ。ってことは今ここかな?」
と自分たちの居る場所さえハッキリと把握できてない二人。そのとき突然ナベちゃんが閃いた。
「このルート図だけどさ、これって何かのコピーだよね。で、ここに書いてあるのは元々書いてあったことで、俺たちのルートとは全然関係ないんじゃないの?」
と言われて自分も雷に打たれたように(おおげさすぎ)
「そうか! 今まで気にしすぎてただけか! 稜線上で道がぶつかってるみたいに考えてたけど、ぶつかってないんだ。じゃあ悩まずこのまま進めばいいんじゃん」
そうなのである。素直に行けばいいだけだったのだ。でもしかし、そうすると道が途切れちゃうのは何でだろう。二人はもう一度途切れたと思った所まで行ってみた。するとどうだろう、道はちゃんと続いていたのである。それも決して分かりづらいものではなく、ハッキリと見えたのだ。杣道を拾いながら歩いていると、こういうことは良くあることだ。それまで見えていたものが突然見えなくなる。焦りがそうするのだろうか、はたまた山の精霊のいたずらか、それとも狐に化かされたか。しかし冷静によく見渡してみれば生い茂った草の中に、一筋の道がすうっと浮かび上がってくるのである。
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稜線に出てほっと一息
残念ながら見晴らしは良くない |
ブナの巨木が天に聳え立つ |
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ロスした時間は2時間ほど。ルート図を書いてくれた人に直接確認しなかった自分のミスである。今回は道が見つからなければ戻れば良かったが、これが戻れないほど奥まで入り込んだ場所だったらどうなったことか。これからはしっかり確認しようと肝に銘じた私だった。
さてその後は快調に進むことができ、無事目的の渓に降り立つことができた。そこはまさに光り輝く白い渓だった。晩夏の陽光が燦々と降り注ぎ、岩は白く輝き、水は底石のディティールまでハッキリ分かるほど透き通っている。
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道が分かってからはすんなりいった
渓に降りてバンザイするナベちゃん |
私たちは本流出合の右岸台地にテン場を設営すると、サブザックだけの身軽な格好になり勇躍遡行を開始した。テン場前から上流は落差も無く、しばらくは楽に遡行できる。逆に言うと瀬ばかりでエサ釣りのポイントは少ない。おまけにここしばらく雨が降っていない様子で、あきらかに減水していた。しかしおそらく7月の集中豪雨の影響だろう、河原にはかなりの量の砂が堆積していて、相当な量の水が出たことを物語っていた。
そんな感じなので、しばらくは竿を出さずに遡行に専念した。今日目指すは魚止めの滝である。この渓は初めてだが、奥が深いので魚止めの滝といっても、おそらくその上にも岩魚は居るであろうことが想像できる。
渓は広々としていてフライやテンカラ向きな渓相を見せる。テン場から数百メートルはそんな感じの景色が続く。
「なんだかハヤが釣れそうな雰囲気だな」
「こんなとこまで来てハヤは勘弁してくれよ」
と冗談半分、本気半分の心配をしながら行くと、徐々に大岩が目立ち始め、少ないながらも落ち込みや深みが出て、そろそろかなという雰囲気になってきた。
「さあ、ナベちゃん、岩魚釣ってくれよ」
といかにも先を譲るよという口ぶりで竿を出させる。しかし実のところ岩魚がいるかどうかを確かめさせようという魂胆であった。私よりも釣りの上手いナベちゃんが岩魚を掛ければ、間違いなく居るということである。ナベちゃんがやって出ないとなると私がやっても、おそらく無駄。釣れないのに竿を出し続けるのは面倒くさいのであった。ハッキリ言って釣り師の風上にも置けない奴である。
それからいくらも行かないうちにナベちゃんの竿が曲がった。
「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!」(by 2ちゃんねる)
私の貧困なボキャブラリーでは表現しきれないほどの美しい水面を割って飛び出してきたのは、期待していた?ハヤではなく、素晴らしく艶かしい姿の岩魚だった。
「やっと岩魚に会えたよ」
と涙すら流しそうなナベちゃん。さあこれからバンバン釣ってちょ。
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遡行中に蛇がカエルを飲み込んでいるシーンに出会った。
目が真っ赤なのは寝不足か?(笑) |
そこからは私もいくつかのポイントに竿を入れながら行くも、どうも芳しくない。やがて対岸に生えた木が渓に木陰を作る淵が目に入った。ちょうど魚の付き場に良さそうな岩もある。その上流に仕掛けを投入した。ゆっくり流れる仕掛けが止まり、根がかりとは違う気配を伝えてきた。そっと竿を上げるとクンクンという引きが伝わってきた。
「慌てるな、慌てるなよ」
と一度送り込み手首を返して軽く合わせた。すると予想と違ってビューンと魚が走った。
「あれ? 岩魚の引きじゃないな。まさかほんとにハヤじゃないだろうな」
鉤から逃れようと抵抗する魚を力を込め抜きあげる。するとどうだろう、釣れてきたのはなんとヤマメだ。銀色にキラキラと輝く魚体、そこにくっきりと浮き上がったパーマーク。
「マジで?! こんな上流まで遡って来たのかよ。ナベちゃーん、ナベちゃーん! ヤマメだよ、ヤマメ」
「ホントだ。ヤマメを移植放流するのなんて、あまり聞かないし、やっぱ遡上物か?」
とナベちゃんも不思議がっている。
ここ最近は源流ばかりやっていることもあり、ヤマメはほとんど釣っていない。今年は家族でキャンプに行ったときに釣った奴だけだから、とても嬉しかった。それも鰭ピン、型も9寸と悪くない。
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光り輝く夏の渓流 |
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しばらく竿を出さずに距離を稼いだ |
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ナベちゃんの竿に今年初めての岩魚がきた |
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良型を手に笑顔のナベちゃん |
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私の竿にはなんとヤマメが こんな上流で釣れるとは思わなかった |
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抜けるような青い空、山の深緑、きらめく流れ これぞ正しい夏の渓流の姿 |
両岸から沢が合わさってくる辺りからアタリが増え出し、楽しくなってきた。渓が右に急カーブする手前の淵に竿を出していると、その先から重量感のあるドーッという音が聞こえてきた。どうやら曲がった先に滝があるようだ。おそらくそれが魚止めの滝だろう。
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エメラルドグリーンに輝く美しい淵 |
はやる心をなだめつつカーブを曲がると、そこにはエメラルドグリーンに染まった深い淵を従えた魚止め滝がどっしりと構えていた。
水流は大岩を噛み、その力は硬い岩などものともせずに樋状に深く削り取っている。太い水流は垂直の崖にぶつかり90度向きを変え、その神秘的なエメラルドグリーンの淵へと流れ出していた。
雲ひとつ無い夏の青空と滝の水流の白さ、そして深い深い淵の色。自然の織り成すカンバスは最高の芸術である。
渓流に行けば滝は付き物だが、一口に滝と言っても千差万別、その表情は一つとして同じものは無い。しっとりと静かに流れ落ちる滝、豪快に遥かな高みから落下する滝、階段状の岩を舐めるように流れる滝。滝の種類だけではない。その渓のもつ雰囲気と言おうか、そういった周り全ての状況が、滝に様々な表情を与える。
この魚止め滝は明るく開けた渓相と山の深緑、真っ青な夏空と相まって、より一層豪快な雰囲気を漂わせていた。
果たしてこの滝に大岩魚は潜んでいるのだろうか。
私とナベちゃんは両岸に別れて竿を出した。まずは淵にいる岩魚から釣っていくのは滝攻略のお約束。底にへばりついているのは尺2寸はありそうな岩魚。そこへナベちゃんが流すとすぐに目印が引かれる。来たか?!と思ったのだが、上がってきたのは8寸ほどの岩魚だった。尺2寸は仲間の釣り上げられるのを見たのか姿を消してしまった。
こうなったら滝の流れが激しくぶち当たっているブッツケを狙うしかない。幸いバンドを伝って滝直下まで難なく行けた。問題はこの水圧に勝ってエサを底まで沈められるかどうかである。4Bのガンダマを3個付け滝の流れに放り込む。何度か流していると手ごたえがあった。グンと抜きあげると8寸くらいの小物?であった。
ナベちゃんは調子がいいようで、釣ってはリリース、釣ってはリリースを繰り返している。私のほうはオモリが軽すぎて底に入らないのか、あまり釣れない。ベルトに通した仕掛け入れのポーチを探ると鮎玉が1個だけ出てきた。そいつを付けて仕掛けを投入。今度は確実に底まで入っているだろう。と思う間もなくアタリが出た。だが残念ながら9寸ほどの食べ頃岩魚であった。そいつを1尾だけキープし、対岸のナベちゃんに終了を告げた。ナベちゃんは尺を筆頭に10尾くらい釣ったであろうか。総じてここの岩魚は7、8寸が多かった。
ホクホク顔でテン場へと戻っていると下流から人が遡ってくるのが見えた。それを見たナベちゃん
「あれ?群遊の武田さんか?」
私は雑誌やネットで写真を見たことがあるだけだったので、遠くからではよく分からない。近くまで下るとそのとおりだった。
「武田さん、久しぶり」
とナベちゃんが声を掛けると、後ろからヒョッコリ顔を出したのは、根がかりクラブの向井さんだ。
「あれ? 向井さんじゃない」
向井さんは私も良く知っている。渓で一緒になったのは2回ほどだが、忘年会等で何度も会っている。
そしてもう一人は群遊会の黒沢さん。
この遊びをやっていると渓でばったり知り合いに会うというのは良くあることだが、まさかこんなマイナーな渓で会うとは思ってもみなかった。
「支流を下ってきたらタープがあったから見てみたら、”渓道楽”って書いてあるじゃない。でザックのコップには”高野”って書いてあったから、高野さんが来てるんだって分かったんだけど、もう一人は誰だろうって話てたんだよ」
と向井さん。
「まさか哲ちゃん(武田さんはナベちゃんを確かこう呼んでいた)が来てるとは思わなかったよ」と武田さん。
この後3人をテン場に強制連行したのは言うまでもない。
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話をしながらも手際よくチャチャと料理する向井さん |
思わぬ仲間も増えて宴会は大いに盛り上がった。さらに群遊会と根がかりクラブと言えば、日本の源流釣りを引っ張る有名な会である。そしてその渓での宴会は素晴らしいご馳走と大量の酒があるという噂である。
次から次へと出てくる料理をご馳走になりながら、すっかり恐縮してしまった渓道楽の2人。ナベちゃんはいい飲み友達に会えてガンガンと他人の持ってきた酒をあおっている。私は私で飯盒での飯炊きまでやってもらい、至れり尽くせりのまさに居酒屋状態となってしまった。
宴会の話の中で入渓ルートはどうだったとなったのだが、聞くととんでもないルートで入ってきたようであった。強靭な源流マンである3人をもってしても、渓まで4時間は掛かったらしい。途中かなりキツイ場所もあったようだ。そこで早速この宴会の御代をチャラにしてもらおうと、自分たちの入渓ルートをこと細かく教えてあげた。帰りは随分楽に帰れると喜んでもらえて、なんとか作戦は成功したようだった。
さて明けて翌日、黒沢さんが早起きして焚き火を熾してくれた。向井さんは速攻で支度して釣りに出かけていき、良型を3尾釣ってきた。それを武田さんが手際よく捌き刺身にする。昨日に引き続き何から何までお世話になりっぱなし。もう山形方面に足を向けて眠れないほどである。
武田さんたちはもう一泊して行くそうで、渓道楽の2人が明日休みを取っていると聞くと、
「それならもう1泊していけばいいじゃない」
と熱心に勧めてくれた。ナベちゃんなどはその気になっているのだが、私は日曜には帰ると言ってあるので、連絡の付かない渓に残るわけにもいかなかったのが残念である。
それでも慌てて帰ることはない。その後のんびりと昼までテン場で過ごし、後ろ髪を引かれる思いで渓を後にしたのであった。
気の置けない友と行く渓は本当に楽しい。ましてやそれが遠くの地に行ってしまってなかなか会うことのできない友ならなおさらである。こうやって釣行記を書いている今もナベちゃんの笑顔がまぶたの裏に焼きついて離れない。
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朝から呑む酒豪たち |
右が武田さん、左が黒沢さん
大変お世話になりました |
源流に来たらこれが無くては始まらない |
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帰りの急登を詰める
足取りが重たいのは決して疲れているだけじゃないのかも |
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遥か眼下の渓を見て、友は何を思うのか・・・ |
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