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 岩手県 三陸沿岸の川
  2007/04/14〜15


  







Text & Photo :   高野

【2007年開幕】
 今年も渓流釣りシーズンがやってきた。世間一般では2月、おそくとも3月には解禁し、太公望たちはウキウキと出かけているのだが、寒いのが苦手で激戦区で釣る腕の無い私は4月の初釣行会が解禁なのだ。今年の舞台は久しぶりの岩手県。それも三陸沿岸の渓流となった。
 今まで、釣りはもとより旅行でも三陸を訪れたことはない。三陸と言えば「リアス式海岸」と子供の頃に習っているので、どんなところなのか楽しみだった。
 そして岩手と言えば釣り仲間の千葉さんが住んでいる。千葉さんは渓道楽の釣行記に度々登場しているので、ご存知の方も多いだろう。釣りに行けば必ず笑いを提供してくれる忘れてはならない仲間なのだ。今回も連絡すると、忙しい身でありながら快く同行してくれることになった。

 さて、出発数日前から気にしていた天気だが、やはり雨。雨男の新会長が同じグループにいるのだから、これはもう諦めるしかないのか? 参加者は12名なので、車3台に分乗していくことになっている。
 私は、斉田さんの車で、新会長のナベちゃんと横倉さんと一緒。千葉さんとは東北道の水沢ICで待ち合わせることとなった。
三陸の山里は梅が満開だった

 そんな予定で水沢ICを目指し交代でハンドルを握りながら東北道を北上するが、なかなか水沢ICに辿り着かない。結局、千葉さんと合流できたのは出発して6時間後の午前4時ころだった。三陸沿岸まではそこからさらに2時間くらい掛かり、渓の流れに立てたのは、すっかり明るくなった午前6時。いやぁ遠かった・・・。

 先ほど書いたように、三陸沿岸はリアス式海岸で有名なところである。リアス式海岸とは、山地が地盤沈降や海水面上昇に伴って海水の進入を受けた海岸のことで、山の尾根筋がそのまま海に落ち込み、ギザギザののこぎりの歯のような複雑な海岸線を形成している。そのため三陸沿岸の川は関東平野などの川と違って、海からすぐに階段状の渓相となっていることが多い。我々が竿を出した渓も、そういった特徴を持ったところであった。

【三陸の渓】
 久しぶりの渓流に期待と戸惑いを覚えながら、5人は思い思いのポイントにエサを投入する。
 幸いなことに先ほどから雨も止み、青空が広がってきた。山の木々はまだ冬装束を纏い芽吹いてはいないが、日溜りは暖かだ。
 ところで、どんな渓にも例外なく釣り人のゴミが落ちていると思っていたのだが、この渓には全く見当たらない。マナーが良い釣り人ばかりなのか、それとも釣り人が入っていないのか、はたまたゴミを片付けている釣り人がいるのか。そのどれかなのは間違いない。
 しかし、ゴミが落ちていないわりに魚の出は渋かった。水量が少ないという要因もあるのだろうが、最初はアタリも来ない。道路から簡単に入渓できるので、それなりにスレているのかもしれない。どちらにしろ源流ばかり釣っている人間には人の多く入る渓流というのは難しいものである。

好ポイントに竿を出す斉田さん
こちらは横倉さん 彼は足を骨折してるらしい こんなことしてて大丈夫なのか???
最初に釣ったのは、やはり斉田さん

 20分ほどはアタリもなく、みんな黙々と釣っていたのだが、最初に沈黙を破ったのは渓道楽きっての大物釣り師である斉田さん。8寸ほどの綺麗な岩魚を釣り上げた。このあたりの岩魚は白斑の大きなアメマス系の岩魚である。海からそれほど内陸に入っていないので、アメマスも遡るのだろうか。

 一人が釣り上げればモチベーションが上がるのが釣り人。だらけていた気持ちもシャキッと引き締まり、交代で釣りあがって行く。渓は階段状になっているので、落ち込みも多くポイントは絞りやすかった。
 ポツポツとアタリが出るようになって皆の竿に岩魚が釣れてきたが、型は5〜6寸ほどでキープするサイズにはちょっと小さい。しかし釣れないよりはずっと良い。あまり贅沢を言うと山の神に怒られる。
 
 やがて小さいながらも釜を従えた滝が現れた。ここなら何尾か出るだろうと散らばって竿を出すも、誰の竿にもアタリが来ない。時間的には釣り始めから1時間半くらいたっていた。「そろそろ別の渓に移動してみようか」と誰からともなく言い出し、斜面を登って林道に上がる。
 山菜でも無いかと山を見ながら車に戻るのだが、まだ早い様子で何も出ていない。山はどちらかというと乾いた印象で、山菜が生える環境にないのかもしれない。




地元の岩魚師 千葉さん 地元と言っても、沿岸渓流までは釣りに来ないらしい


 そんな感じでよそ見をしながら下っていくと、斉田さんが「小さいのが良く釣れましたよ」という支流の橋に着く。橋からはちょうど堰堤が見えて、当然のように「ちょっとやってみようか」ということになる。
 堰堤下はタタキ状でそれほど良いポイントでも無かったのだが、竿を入れたら一発で7寸岩魚が釣れてしまった。
「これはもしかして支流のほうがいいんじゃない?」と全員一致で堰堤を越える。ただ横倉さんは足を骨折してるため、渓歩きは辛いらしく、のんびりと来ている様子。
 この支流はポンポンと良いペースで魚が釣れる。やはり型は小さいのだが、このくらい釣れるととっても楽しい。「なんじゃその小さい岩魚は?」などと笑いながらの釣りができた。
 この時間帯になるとポカポカ陽気で暑いくらいで、薄い長袖シャツ1枚に釣りベストの格好で春の渓流を満喫する。

三陸の渓は白斑の目立つアメマス系の岩魚だ
ナベちゃんにも まずまずの型が来た

 気がつくと時計の針は11時を指していた。「もう十分楽しんだし、そろそろ上がって風呂でも入りたいね」と誰かが言い出し、それに異存の無い皆は渓を後にした。


【食堂探して】
 さて、車に戻って林道を下り、一路釜石市を目指す。海岸の国道沿いならば食堂や日帰り入浴できる温泉もあるだろうと思ったのだが、ほとんど何も無いようだ。あてが外れた我々は気がつくと釜石市まで来てしまっていた。
 釜石市は鉄の街として有名であり、ここならばいろいろ店もあるだろうと探したのだが、見つけられない。ここから今夜の宿のある鵜住居までは、また山の中といった感じであり、鵜住居は釜石市市街よりも小さいことが予想され、ここで食べないと昼飯を食べ損ねる可能性もある。
 だが幸い、駅前のお土産物屋2階に「まんぷく食堂」なるものがあるようだ。選択肢は無いのが残念だが、そこに入ることにした。ただ観光客向けの食堂なので値段高めで特別美味いわけでもなく、「やっぱり・・・」とガッカリする。

 1階には水産物を扱うお土産物屋が集まっていて、いろいろ見てまわる。ナベちゃん曰く「あまり新鮮じゃないなぁ」とのことだが、私には良く分からない。とにかく今晩は泊まりなので土産は明日買えばよいとして、鵜住居の宿「宝来館」を目指して出発。

【三陸の釣りと言えば】
 宝来館には迷わず到着できたが、まだチェックインには時間が早い。というわけで海でも竿を出すことになった。これはナベちゃんがやりたかったからに他ならない。
 駐車場のある堤防に車を止め、青イソメをエサに竿を出す。竿はもちろん渓流竿。それに2号6mくらいの糸を付け、中通しオモリ3号の仕掛けとし堤防から放り込む。すぐにナベちゃんの竿に何か掛かった。「カニだカニ!」とナベちゃんが叫ぶと皆、爆笑。こういうのも楽しいかも。
 しっかし、渓で釣れない釣り人には海も厳しかった。小一時間もやっただろうか、いいかげん眠くなってきたところで、ナベちゃんがアイナメをゲット! 25cmくらいのサイズで食べごろだ。その後、斉田さんと私にアタリが出るも根に潜られて釣り上げられずに終わってしまった。そろそろチェックインできる時刻なので、竿を仕舞って宿に行くと、すでに永田号が到着していた。ほどなく高橋号も到着して、無事に全員が集合。その後は温泉入って、豪華料理の並ぶ宴会へと突入。そして三陸の夜は更けていくのであった。



渓流竿で海釣りする会員たち
さすがナベちゃん、アイナメをゲット

 今回お世話になった「宝来館」さん。
 部屋も綺麗で風呂も良し。
 料理は豪華で言うことなしの宿。


 宝来館
 〒026-0301
 岩手県釜石市鵜住居町20-93-18
 電話  0193-28-2526
 http://www.houraikan.jp/

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