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 静岡県 大間川
  2007/07/21〜22


  すまたさん
  みっちゃん、浅川さん(バカなが隊)
  大ちゃん、かきさん、ヤマトさん
  田辺、高野(渓道楽)





Text & Photo 高野

「あ〜あ、また雨だよ」先週(7月14−16日)の山形県梵字川の予定を台風で潰されて、1週間延期した釣行。3日ほど前までは晴れの予報だったのが、土曜日が近づくにつれだんだん悪くなって、ついには雨マーク。雨男のナベちゃんとの釣りは雨に祟られる運命さ。


  この男が悪いんだ、コンニャロ、コンニャロ、コンニャロ!


いや、実は私も雨男だと影で噂されてるんだけどね。こういうときは他人のせいにしとかないとさ。

だけど、これ以上そうそう延期するわけにもいかず、諦めて新幹線に乗ろうと駅に行くも事故で遅れているらしい。
「なんなんだよ、なんか恨みでもあるのか? 俺が何か悪いことしたんか?」
  (悪いことだらけである)

ところで今回は久しぶりの静岡県大井川水系。2001年に行って以来だから6年ぶりである。あのときは爆釣だったもんなぁ、と懐かしく振り返る。でもあんときもナベちゃんと一緒の釣行で、渓に着く寸前に土砂降りくらったなぁ。


  この男が悪いんだ、コンニャロ、コンニャロ、コンニャロ!(爆)


さて、楽をしようと大宮から東京までも新幹線を使うという貧乏人にあるまじき贅沢をしたのであるが、事故の影響で在来線を使ったほうが先に着くのではないかというくらいの鈍さ。静岡に停まる最終のひかりは21時30分発だから、それになんとか乗りたい。しかし、東北新幹線はノロノロ運転。上野で先に発車しそうな別の新幹線に乗り換えて、どうにか間に合った。

今回のメンバーは先発組が静岡の「渓に棲む」管理人すまたさんと、会長ナベちゃん、私の3人。後発組が静岡の「渓流バカなが隊がゆく」の、みっちゃん、浅川さん。そして富山「大ちゃんの渓流釣り」管理人大ちゃん。その仲間かきさん、京都からヤマトさんの8名である。後発隊は静岡を昼に出てくるらしいので、到着は15時くらいになるだろう。
実は先に入って根こそぎウハウハ釣行なのだ。
  (んなこと考えてるから、ろくな目に会わないのだよ)

まあどうにか最終ひかりに乗って、静岡で乗り換えて藤枝に到着。すぐにすまたさんのレオーネが横付けされる。新幹線にお出迎えの車、もうVIP待遇だぜ!

お約束のラーメンで腹ごしらえした後に、すぐさま渓へと向かい真っ暗な林道をひた走る。途中、たくさんの鹿が林道に出てきた。

「鹿狩りしたほうがいいんじゃないの?」
「このまま車で轢いちゃえば、鹿刺し食えるじゃん」
「よっしゃ、アタ〜ック!」(もちろん冗談よ)

車止めには山小屋があって、その中で足を伸ばして仮眠を取る。いつもは着いてすぐに出発するか、狭い車の中での仮眠でツライのだが、今日はゆっくり足を伸ばして眠れた。雨は激しさを増し、これはこのまま小屋で宴会かと心配しながらも、いつのまにか熟睡していた。
でも寒くて目が覚め、小屋にあったゴザで簀巻きのような恰好になって、再び熟睡。

朝、目が覚めるとどうにか雨も止んで行けそうな雰囲気である。今回入渓するのは大間川。広いテン場があるという条件で選んだ渓だ。
ここは往路は4kmほどの林道歩きも含めて、全てが下りなのだ。ということは復路は全部登りとなる。帰りのことを考えると憂鬱になるので、考えないことにして出発する。渓までの標高差は500m以上ありそうで、かなりの急下降になりそうである。

雨男のおかげで林道はご覧のありさま
山は分厚い雲に覆われていた

幸い山は雲に覆われていて、歩くには涼しくて好条件。が、先を行く2人はどんどん離れていく。
(ちょ、ちょっと待ってよ。置いてかないでよ。ねぇったらさぁ)
と心の中で叫びながらも外見は平静を装う。
とにかく2人は歩くのが早いのだ。
  (あんたが遅いんだよ)

2人のペースに付いていくと、この先の急下降で屍になるのは確実なので、写真を撮りながらペースを調整。

すると2人が引き返してきた。
(なんだ、やっぱ心配で戻ってきてくれたんじゃん。いい奴だなぁ)

「降り口すぎちゃったかもしれない。ちょっと引き返そう」

  ガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!!!!

(あんだって? 心配で戻ってきたんじゃないのけ?)
(それに引き返すって、そしたらせっかく下ったのに、また登ることになるじゃん)(ToT)

そんなことを2回繰り返し、ようやく下降点を発見。樹林帯の中をジグザグに降りていく。
それにしても物凄い急な下りだ。今年初の泊まりということもあって、脚がガクガクしてきた。ただでさえ体力無いのに、シーズン一発目にこれは堪える。
  (よく言うよ、一発目じゃなくて、いつもそうだろうが)

すまたさん かいちょ〜ナベちゃん(雨男)

30分も下っただろうか、大間の流れが見える地点に到着。が、渓を見ると泥にごりである。「あちゃー、こりゃ釣りは無理か?」と3人は顔を見合わせた。
その後30分ほどで川床に降り立つことができた。私だけヘロヘロである。すまたさんの健脚は何度か釣行して知っているし、ナベちゃんもこのくらいなら平気みたいだ。まあいつものことなので、気にしても仕方が無い。

本流に到着 渓は酷い泥にごりの様相
どっかで工事でもやってるんか!  《゚Д゚》ゴラァァァァァァァァァァァァァァア!!!!!!!!!!!!!!!!

すまたさんが偵察に行くと、すぐ上の左又は濁っていないと言う。山抜けでもあったのだろうか。我々は泥にごりの渓を渡渉して、対岸の広いテン場に今晩の宿をこしらえた。

さて、一休みしたあとは釣りに出かけよう。久しぶりに平川の泥にごりの渡渉で平衡感覚がおかしくなるのを経験しながらも、濁りの無い支流の出合いに辿りつく。支流に入ると、相当な土砂が出たことに気がついた。川床と川原に1mくらいの段差がついているのだ。南アルプスは岩がもろく、すぐに崩れるのは知っているが、それにしても物凄い砂礫が堆積していた。こんなになっていて魚は無事なのだろうか? 遡行するにも渡渉して段差を上るのに一苦労だ。
段差を登るときは必ず「よっこらしょ」と言ってしまう。
オヤジの悲しいサガ・・・。

支流は濁っていなかった
川岸は凄い段差
これほどの砂礫に埋まった渓は見たことが無い

しばらくは竿を出さずに進み、渓に落差が出てきた頃合をみてナベちゃんが竿を出す。しかし、投入した仕掛けはなんの反応も無く下流に流れ行くのみ。私も続いてやってみたが、反応なしだった。
やはり魚は皆流されてしまったのだろうか・・・。

だが、こんな過酷な渓でも渓魚は生きていた。私の竿にヤマトイワナが掛かったのだ。大きさは6寸ほどではあるが、見慣れているニッコウイワナとは違った輝きを持つヤマトイワナ。6年ぶりに見るその姿に、しばし我を忘れて見入ってしまう。
ナベちゃんの竿にもアマゴが掛かり、ようやくここから釣れるのかと思ったが、その後また沈黙してしまった。
この渓は難所といえるような場所は無いのだが、土砂とともに流されてきた木々があちこちで渓を塞いでいた。

清冽な流れに竿を出すナベちゃん

























        枝沢に掛かる滝
丹念にポイントを探りながら釣りあがる
遡行する3人の前に倒木のバリケードが立ちふさがる

























  すまたさんも竿を出した

それでも丹念にポイントに竿を入れて、何尾か追加した我々の行く手に5mほどの滝が姿を現した。釜はそこそこ深く丸い形で、普通なら第一級の大物ポイントだ。私は右岸を狙うか左岸を狙うか迷ったのだが、渓を渡渉しなくても良い左岸に竿を出した。他の2名は真ん中と右岸に陣取り仕掛けを投入。するとほとんど2人同時にヒットした。
私もすぐに投げ込むも、全く当たり無し。何度やってもダメダメダメ・・・。どうやら外れくじを引いてしまったようだ。
ここは出るだろうと期待していたのに、小物すら来ないとは運が無いのだろう。6年前はこの3人でやって、渓は違えど入れ掛りだったのに・・・。

ここでもナベちゃんにアマゴが来た
轟々と流れ落ちる滝
ここは慎重に左岸を巻く

気を取り直して左岸から滝を巻き、その上流に期待したのだがダメだった。時間的にもそろそろ戻らないと後発隊が着く時間になってしまう。痛い膝をだましだまし、テン場へと急いだ。

後発隊が到着
しかし、隊員からは驚愕の事実が語られた
バンザイしながら大ちゃんが到着
そんなことやってる場合なのか!? (笑)

テン場で着替えて乾杯したのち、しばらくしてかなり上のほうから声が聞こえた。どうやら後発組が降りてきたようである。彼らなら,、渓を見下ろせるところから20分も掛からないだろうと考えていたのだが、なかなか姿を現さない。40分近く待っただろうか、ようやく姿が見えた。時間が掛かったので心配したのだが、皆元気そう。だが、実は元気じゃなかったのである。このあと聞いた驚愕の一言に先発組はフリーズした!

  「みっちゃんがマムシに咬まれた」
  「うそ?」
  「いや、ホンマや」


マムシに咬まれたって、本人居るじゃないの。咬まれたら病院行かなきゃヤバイんじゃないの? なのになんで下りてきてるのよ。

  普通帰るだろ。(爆)


もう頭の中には

  マムシ 毒蛇 咬まれた 死ぬ (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

という図式が出来上がっていたのだから、引き返さずにここに来てるというのが信じられない。

これがマムシに咬まれた手だ!!

咬まれたみっちゃん、アブにでも刺された程度の感じで、全然落ち着いてる。

  ホ、ホントにそんなに呑気に構えててエエのんか?

かきさんがポイズンリムーバーで毒をチューチュー吸い出してる。
みっちゃんの手はドラえもんの手になってるし・・・。

それでもおバカな釣り人たちは宴会に突入していくのである。
みっちゃんの背負ってきた酒の争奪戦を繰り広げながら・・・。

 「みっちゃん、酒はあかんやろ、酒は!」

 「みんな飲んでやるから心配するな。そうすりゃ帰りのザックが軽くなるだろ」


みんな言いたい放題である。




明けて翌日、みっちゃんはまだ生きていた。キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!

後発組はヤマトさんを除いて誰一人釣りはせず。飲んで食って宴会ジジイになった2日間だった。
みんな好きなんだね。

今日は延々と続く登り坂が待っている。それも朝からピーカンの青空。暑そうだなぁ・・・。

追伸:みっちゃんは病院に直行。すぐに入院させられたらしい。マムシに咬まれた患者は珍しいようで、いろいろデータを取るための入院だったのではという噂しきり。
そしてみっちゃんは、毒舌に磨きがかかり、舌が二股に割れ、マムシエキスを放出する体に変化したようだ(本人談)

※今回の件は傷の状態、咬まれたときの状況、毒に対する知識等から総合的に判断した結果です。皆さんは決してマネをしないようにしてください。

マムシに咬まれた人がいるとは思えない、のどかなテン場
昨日とは打って変わって素晴らしい青空だ!
   マムシのみっちゃんが持ってきてくれたスイカ
国蝶 オオムラサキ
なんとオオムラサキが私の手に
photo by 大ちゃん

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