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 福島県 湯野上温泉近辺の渓
  2008/04/12〜13


  岩田顧問夫妻 田辺会長 永田 村川 阿部 近藤 斉田
  横倉 森 高野
  星さん(フリー)




Text & Photo: 高野

買出しのためにコンビニに寄った後、あまりの眠さに意識を失ったまま現地に到着。自分がどこにいるのか全然分からない。
やがて辺りが明るくなってきたが眠気には勝てずに再びウトウトしていると、横倉さんがリヤのハッチを開けてゴソゴソとなにやらやっている。ハッチを閉めてからはまた静かになって深い眠りに引き込まれた。
7時頃だろうか、いつまでも寝てるわけにもいかないので、起き出して釣り仕度をして渓へと向かった。
今回は渓道楽の初釣行会で3グループに分かれて福島県の湯野上温泉付近に来ている。泊まりは顧問のお気に入りの湯野上温泉「新湯」だ。この辺りに来るのは3回目くらいだが、大小の支流が多く毎回違うところへ入れるのも魅力である。

着替えを済ませると渓へと降りる道を探した。探すといっても山里の沢なので、どこからでも降りられそうであった。
横倉さんはすぐ前の橋の上から一足先に竿を出したらしい。それでさっき荷物を探していたのだろう。
「で、釣れましたか?」と聞いてみる。まあ聞かなくても答えは分かっている。釣れていれば寝ている私と斉田さんを起こしただろうから。
「アタリも無いです」
やっぱり・・・。

前日の天気予報では福島県も暖かくなり晴れとのことだったのだが、見事に裏切られた。空はどんよりと曇って気温は低く、とても春とは思えない陽気であった。これでは魚も寝てそうである。

幸い我々のほかに釣り人は見えないし、辺りに車も止まっていない。しかし、いつのものか足跡らしき痕跡が河原に残されている。
解禁一番乗りではないので、仕方のないことである。

竿を出す斉田さん
若干だが増水しているようでもあった
丹念に探るもアタリなし
























 4月中旬でも
 福島の山は
 芽吹きの季節を迎えていないように見える
しかし、足元を見ると春は訪れていた
雪が消えると真っ先に花を咲かせる福寿草
山間部の集落を蛇行しながら流れる渓
増水の跡が垣間見える























 集落には古そうな神社があった
 ずっと昔から集落を見守ってきたのだろう

3人でしばらく粘ったのだが、誰の竿にもアタリはなくガッカリである。毎年この時期に渓へ入っているが、いつも同じような感じなのでさほど気落ちはしないのだが、たまには一投目でガツン!と来てくれてもいいと思うのだが・・・。
これはさっさと見切りをつけて他に移動したほうが良さそうである。
車に戻る途中で農作業中のおばあさんに出会い、声を掛けた。
「おはようございます。ここは魚は居ますか?」との問いに
「昔はこんな岩魚が居たんだけど、砂防工事してからは全然釣れなくなったよ」
と40cmくらいの幅に腕を広げ、寂しそうに教えてくれた。

水の中にはほとんど入っていないので、そのまま車に乗り込み山道を走り出す。
来るときは寝ていたので全然気がつかなかったが、結構な山奥である。
「ここに来るまで道路に点々と灯りがついてたんだけど、まさか奥に集落があるとは思わなかったよ」
と斉田さんと横倉さんが言っていた。
確かになぜこんな山奥にと思えるようなところで、我々が通っている道が寸断されたら孤立してしまいそうな所であった。

地図と釣りガイドを参考に次に入る渓を選ぶのだが、時間的にも遅いのでどこも釣り人がいっぱいいる。
何箇所か見た後に入れそうな渓を見つけた。ここも朝イチで誰か入っているかもしれないが、もう仕方ない。
天気は相変わらずで4月とは思えないほど寒い。今回、暖かいという予報だったので、釣り用の上着など持ってきていなかった。仕方なくフリースの上に合羽を重ね着していた。

渓に降りるとやはり足跡が残っている。今日のものではないようだが、どうだろうか。
釣り上がっていくも案の定アタリは全く無い。
30分ほど釣っただろうか。落ち込みになっていて白泡が消える辺りに餌を投入し、そのままたるませてしばらく待ってみた。
軽く糸を張ってみるとブルブルという感触が伝わったような気がする。が、にわかには信じられず、もう一度送り込んでから軽く聞いてみた。「ブルブルッ!」明らかに何か掛かってる。
私は軽く合わせをくれて竿を上げた。糸にテンションが掛かるとそいつは抵抗し、身をよじる。岩魚のポイントで来た奴だから、当然岩魚だろう。岩魚でこの引きなら8寸以上の良型か。
竿を縮めながら引き寄せると、そいつはパーマークも鮮やかなヤマメだった。
ヤマメを釣るのも久しぶりだ。前回はいつだったか・・・。いつも岩魚しかいないところで釣っているので、ヤマメを釣ることは滅多に無いことだ。
大きさは7寸ほどだろうか。サビも無い美しい魚体を何枚も写真に収めてから、斉田さんらに報告しに行った。

先ほどの渓よりも規模は小さい
こちらも少しばかり増水していた 条件としては悪くないと思うのだが
チョー久しぶりのヤマメ
ヒレは綺麗だから、少なくとも今期の放流物ではないと思う それとも最近は漁協も綺麗なのを放流しているのか?

パーマークも鮮やかで、美しい魚である

3人ともアタリも無かったのだから、これには全員喜んだ。誰も釣れないと魚が居ないんじゃないかと不安になるものだが、誰か釣れれば元気が出る。
その後はすぐに横倉さんに6寸岩魚が出た。
しかし、そこまでだった。
時間はもうお昼過ぎ。そろそろ昼飯を食べて一休みすれば宿に入れる時間である。

大物師斉田さんだが、今回は×
でも先週、尺岩魚を上げている
昨年の骨折から完全復帰の横倉さん
今回は岩魚が1尾だった






















 ここにもフキノトウが沢山あった
 残念ながら少し遅かったので、
 みんな花が開いていた























河畔林に守られた渓
いつもの山岳渓流と違う、
おだやかな表情を見せてくれた

渓は結構深いところを流れている。斜面を強引によじ登ると、そこはキクザキイチゲやフクジュソウの咲くお花畑だった。
キクザキイチゲは残念ながら花が開いておらず、清楚な花をみることは出来なかった。太陽が顔を出せばいっせいに開くだろう。
願わくばそれを見てみたかった。

渓でよく見かけるフクジュソウ

さて、車に戻って着替えていると会長のナベちゃんから着信。
「今、どこですか?」
「ちょうど渓からあがったとこ XX川にいるんだけど」
「じゃあすぐ近くまで来てますから、行きます」
といった塩梅でナベちゃんと合流。今回、ナベちゃんは家の用事で後から一人で追っかけてきた。釣りはできないが温泉に入ってのんびりしたいそうである。それで酒が飲めれば満足できる人なのだ。

今回、とりあえず1尾は釣ることができた。まあ毎年解禁は釣れないので、これでも十分。会の仲間と温泉旅館に集まって、ワイワイできれば初釣行会は成功なのである。

翌日は釣り組、山菜組、観光組に分かれて別行動。
我々は「大内宿」に立ち寄り、江戸時代からの歴史を感じて帰途についた。

初日、顧問らと別の渓に入っていた森さんが、尺物と9寸を釣った
初釣行でこれが出れば大満足だ

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