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 新潟県 三面川岩井又沢
  2010/09/18〜19


  渓児さん(瀧友会)
  斉田、高野(渓道楽)



Text&Photo: 高野

およそ2年ぶりの源流。それも本格的な岩井又沢。斉田さんには前々から行ってみたいとリクエストされていた渓。
そして、友人の根がかりクラブの斉藤君が眠る渓。

ここ岩井又に来るのは、亡くなった川上さんと来た2004年以来の3回目である。
初めてきたときも川上さんに連れてきてもらった。あのときはF3を越えて畑沢の手前くらいまで釣りあがり、素晴らしい釣果に恵まれたのをハッキリ覚えている。
そして2回目は台風通過後の大増水で、三面本流を渡渉するのもままならず、岩井又でもF1までも辿りつくことができなかった。

翌年、2005年9月の斉藤君の事故に続いて川上さんも亡くなり、岩井又からは遠ざかっていた。
でも、もう一度自分の力で行ってみたいという願いが心の片隅にあった。
それとF1で手を合わせてきたいという理由もあった。

新潟回りで奥三面ダムの車止めに着いたのは夜が明ける直前。
すでに2台の車が止まっていた。
早速話をすると、単独の方は三面小屋。もう一組はF3の上まで行ってテンバるという。
我々はF1下のテン場だったから、一安心。
一眠りしてから最後にゆっくりと出発する。

すすき原を抜けて森に入ると、早速樹齢何百年ものブナが出迎えてくれた。
東北の美しいブナ林は何度見ても素晴らしい。
しかし、久しぶりの源流。体は全く言うことを聞いてくれない。去年は大深沢への30分の歩きだけ。
何時間も歩くのは2年前の早出川以来である。
この2年で体がダレきったからか、ここ1年くらいは体調不良に悩まされて、源流はもうダメかと弱気にもなっていた。
でもなんとか気を奮い立たせてここにやってきたのだが、こんな平地歩きでさえヒーヒー言う始末。
なんとかテン場までは2人を案内したいので、頑張って歩いた。
























 車止めにて
 これから憧れの岩井又へと出発する。
 この二人は毎月のように
 源流詣でをしてるので、
 体力的には全然問題ない。

























立派なブナが出迎えてくれた。
美しい日本の原生林。























 美味そうなヒラタケ発見!
 今年は猛暑だったからか、キノコも出も遅いようだ。
 重くなるから帰りに採ろうとなったのだが、
 案の定場所を忘れて採らずじまい。

1時間ほどで三面川本流に到着。
水量はまあまあだろうか。
渡渉しやすいところを探す。

岩井又沢に入る。
沢とは言え、そんじょそこらの小沢とは訳が違う。
膨大な水量は押しが強く、やたらなところは渡渉不可能。
劣化した中年の体に次々と襲い掛かる難所。
ヘロヘロになりながらも、巻きをくりかえす。

難所を巻く渓児さん。
たんたんと遡行する姿は疲れなどないように見える。


どうにかF1下のテン場に着いた。
岩井又の遡行は体にこたえる。
久しぶりのテン場を整えて、今晩の寝ぐらを確保して釣りへと出発!
























 岩井又にはほとんど河原はない。
 遡行するのも一苦労。
 渡渉したくともどこも深くて押しも強いので
 油断は禁物だ。













岩井又沢 F1
斉藤君が眠る場所。
源流のスペシャリストですら命を落とす、
恐ろしい滝だ。
他にも多くの人が亡くなっているらしい。

8年ぶりに見たF1は何か様子違う気がした。
滝がS字にねじれていない・・・。
どうしたのだろうか。
このときはここはF1では無いとまで思ってしまった。

S字の部分に大木や岩でも挟まったのか。
それとも岩が崩れたのだろうか。
自然は永遠ではないのである。

じっと滝を見つめた後、
私は静かに手を合わせて、斉藤君の冥福を祈った。

F1を左岸の巻き道で巻いた後、川床に降り立った。
竿を出す斉田さん。
しかし、なかなかアタリが無い。
























 岩井又の初イワナは斉田さんに来た!
 源流の流れに磨かれた美しい魚体。
 小さいけれど、この1尾に会いたくて
 はるばるやって来たのだ。

こちらは渓児さん。
静かに竿を出す。


























渓児さんにも美しい岩井又のイワナが来た!

夏でも冷たい岩井又の流れ。
腹まで浸かると、思わずヒーって声が出る。



家ほどの大岩が転がる流れ。
どこまで行っても岩井又は優しい表情を見せてくれない。

岩井又の流れと同じく、イワナの出も厳しかった。
みんな上流へ上がってしまったのだろうか?
水量も少なくはないし、そこそこ雨も降っていたようなのだが。


まあ、イワナの顔が見れればいいってこと。
テン場に戻って宴会だ。
スタスタとF1の巻き道を戻り、テン場へと急ぐ。


そして夜は更け焚き火の炎が原始の渓を赤く照らす。
























 久しぶりの源流での焚き火。
 炎を眺めながらの気の合う仲間との時間は
 最高の癒しの時だ。

翌朝の岩井又の流れをスローシャッターで切り取る。
写真で見ると穏やかな優しい表情だが、実際に渡渉するのは命がけだ。

朝、テン場前に竿を出したら7寸ほどのイワナが釣れてホッとした。
実は昨日はボウズだったのだ(笑)

久しぶりの源流釣行。それも岩井又とあって、とても楽しい2日間だった。
今回行ったのはまだまだ岩井又の入口だが、次はまたF3下のテン場に泊まって上流で爆釣経験をしてみたい。
美しい岩井又、いつまでもこの渓が豊かであるように祈っている。


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