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  新潟県 清津川 高石沢
  2012/09/22-23



  平澤(瀧友会)
  斉田、高野(渓道楽)





Text&Photo: 高野

早いもので2012年もすでに10月。渓流釣りのシーズンもあっという間に終わってしまった。
振りかえってみれば、今年は5月、7月、8月と源流行ができて、とても満足の行くシーズンだった。
そして9月。どうにか休みも合わせることができて、ラスト釣行に行ってきた。

前回の胎内はハードだったので、なるべく楽なところ。そして魚も釣れるところ・・・
ってそんなところがあったら大勢の釣人が行っちゃうって。
まあどんなところでも、釣れるときは釣れるし、ダメなときはダメ。
9月はあまり釣れないときが多いんだよな〜なんて話ながら、新潟県の清津川に決まった。

車止めには夜明け前に着いたが、みんなお疲れ気味で車中で爆睡。
起きたらすっかり夜が明けて、歩き出したのは8時を回っていた。
なんだかだんだん出発が遅くなっていくような・・・。


清津川本流はとても険しい渓だ。膨大な水量と高く切り立った崖。とてもじゃないが遡行するのは不可能だろう。
そんな本流で釣りなどもってのほか。目指すは支流の高石沢だ。もう一本の足尾沢のほうが良さそうだが、こちらもゴルジュの渓らしい。高石沢のほうが手前にあることもあって、そちらに決定だ。

車止めは登山道への入り口とあって広々とした駐車場になっていた。
いつも自分たちが行く渓は、民家も無くひっそりとした林道の奥に車を止めて、そこから出発というのがほとんどだ。ところがここは国道17号からちょっと入った場所。それも集落からもほど近く、車止めには運動場も併設されていた。なんだか源流への出発点という感じではなかった。

しかし、ひとたび森の登山道へと分け入るとどうだろう、東北の原生林でもめったにお目にかかれないような、立派なブナやミズナラの巨木が立ち並び、すばらしい森を作っていた。
我々はその見事さに目を見張った。
「すごいねここ!」
「東北とかでも、こんなに見事な森はそうないよね」

そんな会話を交わしながら、森を行く。
やがて鹿飛橋に着いた。
この先は道も悪くハイキングの人はここで引き返せとあった。
行ってみると確かに崖沿いを行く箇所があったりで、渋いところも数か所あった。
登山道から見える本流は相変わらずの険しい流れ。川通して進むのはおそらく不可能だろう。
こんなところでも沢登りのエキスパートなら突破できるのだろうか・・・。

「そろそろ高石沢のはずだよね」
「あの切れ込みがそうじゃないかな」
その読み通り左岸から流れ込んでいる高石沢へと辿りついた。ここまで休憩入れて4時間くらいだろうか。

さて、泊まる場所はあるかなと探すと、登山道が横切るすぐ上の高台に、テンバがあった。
大岩に囲まれてあまり広くは無いが、3人なら十分に寝られる広さ。
すぐにタープを張り釣りに出かけた。

歩きだしの森は植林されていた。

名水が湧き出す。

あまりの見事な渓相にたまらず竿を出す斉田さん。
しかし、アタリは無し・・・


























 ブナやミズナラの原生林を行く。


























見事なブナだ!

清津川の流れ。
鹿飛橋に到着。
ここまではハイキングコースだったが、この先は本格登山道らしい。























 鹿飛橋。

鹿飛橋からのぞきこんだ清津川。
険しい流れだ。

高石沢は地図で見ると遡行出来ないような難所は無さそうだ。
程よい水量で落差もあって、ポイントは見つけやすそう。
とても釣りしやすそうな感じだった。
あとは魚がいてくれれば言うことなしである。

さて、今までも何度も一緒に釣行し気心の知れた3人。適当に交代しながら釣り上がって行く。
そして、やっぱり最初に釣るのは斉田さんだった。7寸くらいのイワナを釣りあげる。
「お、いるじゃん」
「いいね、ウジャウジャかな」
なんていいながら今度は自分の番だと心ひそかに思う(笑)

ところが自分の竿には全くアタリが無い・・・。
平澤さんも同じだった。
斉田さんは6〜7寸ほどのイワナをなんとか掛けていた。でもそれほど魚影が濃いわけではなかった。

すっきりと晴れわたった秋空の下、清々しい空気に包まれて釣り上がる渓は、とても気持ちが良かった。
山はまだ深い緑に覆われて全く色づいてはいない。今年は残暑が厳しくて紅葉も遅れているようだが、もうしばらくすれば葉は色づきはじめ、秋の装いとなるのだろう。
いつもは禁漁になると渓を訪れることもないが、一度はそういう渓に竿を持たずに来てみたい。
釣りのポイントを探して目印ばかりを見つめるのではなく、美しい紅葉やそれを映し赤や黄色に染まる流れを見てみたいとも思う。

























 やはり最初に釣りあげるのはこの男。
 斉田さんの腕は確かだ。

























高石沢のイワナは小さめだった。

滝上に竿を出す平澤さん。
魚影が薄い・・・、なぜだ。
源流なら必ずアタリが出そうなポイント。
しかし、不在・・・。

美しい滝。
今回は斉田さんの一人舞台

























 

これは誰のだ?
























また斉田さん(笑)    

さて肝心の釣りだが、気がつくと渓はどんどん高度をあげて、岩の重なる流れとなった。
だんだんと水量も減ってきて、アタリも遠のいている。
ひょっとして気付かぬうちに魚止めを越してしまったか?
「もう少し上までやって終わりにしようか」
「じゃあ俺はここで待ってるよ」
と釣れてる斉田さんは一休み。
平澤さんと2人で遡る。

斉田さんの姿がまだ見えているところで、平澤さんが竿を出した。
グンッというアタリがあって、イワナが掛かった。
なんだ、まだ魚止めじゃないじゃん。
そのイワナは本日の最大サイズ。8寸ほどの精悍なイワナだった。
でも体はずいぶん痩せている。
おそらく餌も少ないのだろう、典型的な小さな沢のイワナだ。

写真を何枚か撮ってリリース。今日は食べるつもりもないので、全て流れに還した。

時間も15時近くなっていた。もうこの辺で上がるとしようか。
結局私は6寸のを1尾だけ。最後はちょっと寂しい釣果になってしまった。

テンバまではすぐだった。
そこでせっかくだから本流も見てみようと、斜面を下る。
高石沢出合の上流はわずかに河原があって、竿を出すことができた。
高石沢は本流には2段の滝を掛けて流れ落ちている。きっとそこにはイワナが差しているはずと思い、竿を出してみた。
ところがその下の落ち込みも含めて、まるでアタリ無し・・・。
こりゃどうなってるんだろうか。
釣り人が入ったとしても本流から遡ってくると思うのだが。

本流では斉田さんがヤマメを掛けたらしい。
でも豊富な水量の流れでも、たった1尾の貧果だった。

さあ、気を取り直して宴会しよう、宴会!

薪を集めて準備も万端。
あとはまったりしながら夜を過ごそう。
今シーズン最後の渓の夜を・・・。























 青い空、白い雲、緑の山・・・
 ビバ! 源流!(笑)

秋の陽光に煌めく流れ
しぶきをあげて日本海まで流れ下る。
























 粘る平澤さん。

ここはどうだ!?
ついにきた!
























8寸の良型だが、痩せている・・・。


























 巨大な岩が積み重なる流れ。


























そろそろテンバに戻ろう!
























 高石沢の本流出合は2段の滝になっていた。
 しかし、ここでもアタリ無し・・・。

清津川本流
























斉田さんはここでもヤマメを釣った。

清らかな流れ。

今シーズン最後の焚火。静かな森に炎が揺らめく。
また来年な。

シーズン最後でとうとう雨に降られた。
濡れたタープがめちゃめちゃ重たい。


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