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丸山発電所をすぎて、いよいよ山に。
2日分の荷物がずっしりくる。
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ルートの確認中。
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ようやく営林小屋の廃屋へと辿りつく。半分くらいは登ったのだろうか。
ここで雨が降り出したが幸いにもすぐに止んだ。
「いや〜、疲れた〜」
営林小屋で大休止だ。
小屋の中はかなり荒れてはいたが、まだ屋根はしっかりしていて泊まれそうであった。
数十年前、ここに山の男たちの暮らしがあったのだ。
付近には酒の一升瓶が無数に転がり、男たちの残像が見て取れた。
さて、たっぷり休んで体力を回復して・・・ればいいのだが、あまり回復してない身体に鞭打ち出発する。
しかし、ここでルートミスをしてしまう。
二股に分かれた沢を右に行かねばならないところを、左に登ってしまった。
気が付いたのはかなり登ってからで、ここから戻るのはちょっと考えられない。
左沢を詰めても三峰川には降りられそうなので、このまま行くことにする。
こちらのルートだと、100mくらい余計に登って降りなくてはならないようだ。
「長ぇ〜よ、このガレ!」
「脚がガクガク!」
みんなヘロヘロだ。
ガレた涸沢をノロノロと登り、ようやく鞍部へと辿りつく。
そこからの下りは、いままで登ってきた乾いた西斜面と違って、苔むした倒木が一面に広がる急斜面を下る。まるで宮崎アニメの「もののけ姫」の世界のようだった。
今まで多くの山に行ったが、ここまで一面を苔に覆われた倒木の多い所は初めてである。
いいかげん疲れて嫌になったころ、ようやく三峰川の流れの音が聞こえてきた。
三峰川に降り立ったのは、時計の針が4時を回った頃であった。
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営林小屋跡に到着。
車道も無い山奥での仕事と生活。
さぞ大変だっただろう。
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営林小屋を出ると、その後は道も無くなる。
このときはまだ気づいていないが、間違った沢を登っていた。
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岳沢越えはまだか。 |
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滝が出てきた。
どうも違うルートを登っているようだ。 |
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15時半、ようやく鞍部に到着。
長い道のりだった。
だが、ここからまた200m降りなければならない。
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やたらと倒木の多い斜面を下っていく。
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16時半、やっと三峰川に着いた。
疲れた〜。ここまでハードなのも久しぶりだ。
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もう疲れきって、さすがに今日は釣りもできない。
すぐに宴会をはじめて、晩飯の用意。
といっても板長の高橋さんに、ほとんどやってもらった。
いつもありがとうございます、高橋さん。
前にも書いたと思うが、高橋さんは一流料亭の元板長さん。
渓でこんなに美味しい料理が食べられるなんて、幸せである。
初日は早々に就寝して翌日の釣りに備えた。
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高橋さんがテキパキと料理を作ってくれる。
疲れているのにありがとうございます。
ステーキ、ジュージュー!! |
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高橋さんの料理の一部。
どれも美味かった!
この日は全員、爆睡。
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清々しい源流の朝。
コーヒーを飲みながら、今日の作戦を練る。
選択肢は二つ。
ここから素直に上流へと釣りあがるか、またはいったん下流へと下がり、
そこから釣りあがるか。
見た感じでは水量も少ないようで、上流に向かっても良いポイントがあるかどうか。
ここはいったん下流に下って、そこから釣りあがってくることにした。
そうと決まれば早速出発。といっても渓道楽はのんびり釣行。
出発したのは9時半頃だった。
渓相を見ながら1時間弱下った。
「そろそろいいかな」
みんな竿を出したくてうずうずしている。
兎台谷出合を過ぎて、ちょっと下流まで行ったところで、いよいよ竿を出す。
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どこの源流に行ってもそうなのだが、これが緊張の一瞬。
ここで一発でイワナが来るようなら、期待できる。
ところが期待を裏切り、アタリ無し。
「おかしいなぁ。人が入った形跡ないのに・・・。」
それなりのポイントが連続してはいるのだが、誰の竿にもアタリすらない。
「やっちまったかぁ〜?」
あんなに苦労して、こんなことになるとは・・・。
交互に釣りあげるが、なんと1時間経っても釣れない。
ここはホントに源流か?
それもここ最近、誰一人として入って無さそうな場所なのに!
全員意気消沈。
うなだれながら竿を出す。
そんなメンバーを哀れと思ったのか、ようやく渓の女神が微笑んだ。
森ちゃんに9寸オーバーの良型が来た!
「おお、やったじゃん!」
「いい型だね」
全員が駆け寄り、マジマジと見る。
オレンジ色の斑点が散りばめられた美しい魚体。
まぎれもないヤマトイワナだ。
そう、ここ三峰川はヤマトイワナの棲息する渓なのだ。
見た感じは純血のヤマトイワナのようだ。
というのも中流部にはニッコウイワナが放流され、ヤマトイワナと混血して純粋なヤマトは数が少なくなっているという話だ。
まったくもって困ったものである。
それはそうとして、ようやく1尾釣れてほっとする5人。
誰かが釣れれば期待も高まる。
気合を入れなおして釣りに集中した。
のだが、その後はまたぱったりとアタリが途絶えた。
こうも釣れないと集中力も続かない。
絵になる写真も撮れないし。
誰でもいいから釣ってくれ〜!
その声が天に届いたのか、今度は高橋さんの竿が大きく曲がっている。
落ち込みの白泡から引っ張り出したのは、念願の尺イワナ。
もちろんこいつもヤマトイワナである。
ヤマトの尺物を見るのは久しぶりだなぁ。
「しっかし、1時間に1尾しか釣れないよ〜。」
「うじゃうじゃなんて言ったの誰だよ。あ、俺か。」
そしてその後が続かず、とうとうテン場まで戻ってきてしまった。
自分と斉田さん、平沢さんはボウズだ。
わりと釣り人の多い源流ならまだしも、ここでこれはないよなぁ。
納得行かない3人はテン場の上も釣ってみた。
ここから先は両岸が崩れているところが多く、倒木も半端じゃない。
しかし崩れた砂礫で埋まっている渓相で、ポイントがあまり無い・・・。
そういった感じなので、倒木の下から竿を出していると、その倒木が
グラリと動いた。
バキッ・・・という音とともに竿がへし折れた。
「あちゃー、折れちまった・・・」
仕方ない、今日はもう終わりにしよう。
最後に、珍しくボウズだった斉田さんが、小さめながらもヤマトイワナを掛けた。
斉田さんは必ず釣るなぁ。 |
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三峰川の流れに竿を出す斉田さん。
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森さんに渓の女神が微笑んだ。
9寸のヤマトイワナだ。 |
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散りばめられた橙色の斑点。
美しいヤマトイワナ。
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珍しく斉田さんが釣れてない。
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まあまあのポイントが続くのだが・・・。
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平澤さんもアタリ無し。
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ついに高橋さんに大物が!
美しい魚体の尺ヤマト。 |
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腹の橙色が綺麗な、居つきのイワナだ。
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魚が釣れないから、滝をスローシャッターで。
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昼飯の時間になったのに、2尾しか釣れていないなんて。
想定外だぜ。
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最後にはキッチリ釣る斉田さん。
8寸とサイズは小さいが、
この状況で釣るからたいしたもんだ。 |
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というわけで苦労してきた三峰川は、なんとボウズに終わってしまった。
今年2回目のボウズ。
う〜ん、今年はイマイチだなぁ。
まあ、釣れなくても源流は楽しいよ。
こうなったら、次は倍返し。いや10倍返しだ!
そんな冗談をいいながら、今日も高橋さんの絶品料理に舌鼓を打つのであった。 |
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もののけ姫がいそうな苔むした渓。
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飯焚きは私の担当。
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天ぷらもやっちゃうよ。
なんの天ぷらかな? |
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ヌメリスギタケモドキの天ぷらでした。
美味〜。
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帰る前にみんなで記念写真。
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下流に下ったところに岳沢越えのルートがあった。
今度は間違いないぞ。
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葉緑素を持たない、ギンリョウソウ。 |
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岳沢越えの鞍部に到着。
当然だが、正規のルートのほうが楽だ。 |
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さあ、ここから1000mの下りだ。
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まだまだ余裕の面々。
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またまたガレ場が始まった。
落石しないよう慎重に。
「あ、ヤベ、落〜!」 |
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うひょ、高けぇ。
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森のクマさんのテリトリー。 |
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あんな上から崩れてるのかよ。
あのデカイ岩、落ちてきそう。 |
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車に乗った頃には夕暮れが迫っていた。 |