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  静岡県 信濃俣河内
  2014/05/10-11


  八木さん
  平澤さん(瀧友会)
  高橋、斉田、森、宮川、田中、福田、高野(渓道楽)



Text & Photo : 高野

南アルプスの間ノ岳(あいのだけ)3,189.5mに源を発し、駿河湾へと注ぐ大井川。
源流部はフォッサマグナの険しい山岳部を削り、深い谷を形成している大河だ。
今年の初源流釣行は、そんな大井川の支流である信濃俣河内になった。
信濃俣河内は仁田岳2523.8mの西面から流れ出し畑薙湖へと注ぐ、大井川では有名な支流だ。

さて、今回のメンバー、おなじみの面々に加えて、今年から渓道楽の仲間となった宮川さん、田中さん、福田さんの3名。
総勢8人の大所帯で、わいわい賑やかに渓を楽しもう。
また、地元静岡の八木さんが、午後から宴会に合流する予定となっている。八木さんと渓に泊まるのは久しぶりなので、これも楽しみだ。

前夜に埼玉を出発し新東名の新静岡ICから畑薙湖を目指して、延々と一般道を走る。ずっとクネクネの山道で疲労も溜まるが、夜明け前に畑薙湖に到着した。
そこからは車止めまで林道を行くが、ところどころ倒木があったり石が落ちていたりで、都度それらをどけていく。
面倒ではあったが、そういうのが落ちているということは、先行者はいないということだ。それだけでも、ほっと一安心。
ほどなく2台は車止めに到着。エンジンを切り、車止めで空を見上げると満点の星空。きっと素晴らしい渓行になるであろうことを喜びつつ、しばし目を閉じた。

5時過ぎに斉田さんが起き出したのを合図に、準備を始める。テン場では一番遅くまで寝ている斉田さんだが、車止めで目覚めるのはいつも一番だ。さすが釣りにかける情熱が違う。

重たいザックを背負い渓へと下降する。やがて有名な吊橋が現れるが、それは渡らずに河原へと降りる道を探す。
右岸の杣道を辿るルートもあるようだが、山抜けでドーンを崩れていて即却下。一応ロープは張ってあるが畑薙湖のバックウォーターが干上がっているので、河原を歩けば問題ない。
ただ最後の降り口が崩れていたので、真新しいロープを頼りに順番に下降した。

しばらくはだだっ広い河原を黙々と歩く。しかし、それが退屈かと言うとそうでもない。
見上げる空は雲ひとつ無く晴れわたり、5月の山は新緑に萌えている。
また今年も源流のシーズンが始まったのだと実感して、心が躍る。歩きながら萌黄色の新緑の美しさに何枚もシャッターを切り、同じような写真を量産してしまった。
そうしているうちにテン場予定地の西河内出合に到着。さっそく段丘上の台地を整地してタープを張った。ここなら後から来る八木さんの目にも入るだろう。

素晴らしい青空の下、上流を目指す。
肩に食い込むザックの重さも気にならない。


いまだに残る雪渓。
今年の雪の多さを物語る。


何度も渡渉しながら、テン場を目指す。
南アルプスの雪解け水が肌を刺す。


しばらく行くと右岸からアシ沢が出合ってくる。
それにしてもこの地層すごいな。
90度ねじれている。


車止めから3時間ほどで西河内出合に到着。
段丘上にテン場を設営した。


さて、一休みしたら釣りに出発。今回は人数が多いので2班に別れる。
本流組みは、斉田さん、宮川さん、田中さん、私の4人。西河内組が高橋さん、森さん、平澤さん、福田さんだ。

地図でも分かるが本流はしばらく平らな渓相が続く。なのでなかなかいいポイントが出てこない。
田中さんはテンカラ、他の2人はエサ釣りである。
4人で交互に竿を出していくが、魚が走るのも見えないし、ましてやアタリなど無い。
先週はGWだったので大勢の釣り人が入って、魚も警戒しているのだろうか。

竿を出しながらゆっくり遡行していくと、渓にはまだかなりの雪が残っていた。
大井川のこの辺りはそんなに雪が降るところではないのだが、やはり今年の2月の大雪は相当だったのだろう。
そんな訳で水はとても冷たく、膝上まで入ると切れるような痛さが襲ってくる。
となると魚も活性が低そうだ。普段は雪など無い温暖な静岡。岩魚たちもあまりの水の冷たさにビックリしているのだろう。

釣り始めてしばらくしていくと、ポツポツと良さそうなポイントが出てきた。
そこで斉田さんにファーストヒット!
やっぱり最初に釣るあげるのは、いつも斉田さん。
駆け寄ってみると、まずまずの型の岩魚であった。
「どこらへんできたの?」
「そこの深いところにデカオモリで沈めて、しばらく待ったんだよ。」
やはりまだ活性が低いようだ。

すると続けて田中さんの毛ばりにも出た!
これも綺麗な岩魚だ。

テンカラを振る田中さん。

こちらは餌釣りの宮川さん。

新緑が目にまぶしい!
渓が一番輝く季節がやってきた。


























  フォッサマグナの南アルプスは、
  いたるところで山抜けしている。
  とても脆い地層の山だ。

























最初に釣るのはいつもこの人。
ポーズも様になっている(笑)

美しいイワナ。


























  田中さんの毛鉤にも来た!

立て続けのヒットに釣り人の活性も上がる。

しかし、釣りはそんなに甘くない。またしばらく辛抱の釣りが続く。

その沈黙を破ったのは宮川さん。綺麗な岩魚を釣り上げた。
そうなると釣れてないのは自分だけ・・・。
また一人ボウズは勘弁してもらいたい。

左岸から小さな支流が入っているのが目にとまった。
小さな滝があってもしかしたらと竿を出してみた。
すると明確なアタリが出た!
よっしゃ!とアワセをくれて釣り上げる。
「・・・」
う〜ん、ちょっと小さいかなぁ。
6寸弱くらいのお子ちゃま岩魚だった。
まあ、とりあえずボウズは逃れた。

上をやるほどでは無さそうだったので、本流に戻る。
すると先を釣っている田中さん達が何やら騒いでいる。
おお! アマゴが来た!
橙色の斑点を散りばめた、渓の宝石とも言われるアマゴ。
久しぶりに見るなぁ。
とても美しい姿で釣り人を魅了する渓流魚である。
ダムや林道など無かった頃の大井川には、とてつもなく大きなアマゴがいたんだろうなぁ。

そろそろ時間も昼を回ったので、ここらで昼飯にして大休止。
まるで青い絵の具で塗ったかのような青空の下。のんびりと河原で食べる昼飯は、たとえそれがコンビニ弁当だとしても、
この上なく美味しいご馳走だった。



素晴らしい景色の下を釣り上がる。
残念なことに写真のような流れが続く。
ポイントは限られている。

煌めく流れにテンカラのラインが踊る。

魚はどこにいる?
























宮川さんに待望のイワナが!

私にも小さいながらも、やっと1尾。


そして田中さんの毛鉤をアマゴが咥える。
久しぶりに見る渓の宝石。


さて、腹もいっぱいになったところで再び釣りタイム。
しかし、相変わらずアタリは遠い。
源流とは言ってもこの渓は人気があって人もよく入るのだろうか。でもそれほどゴミも落ちてないから
そうでもない感じなのだが。

地図で見ると、そろそろ中俣沢と小沢との三股が近づいてきてるはず。話によるとその上が魚影が濃いらしい。
はたしてそこまで釣る時間はあるだろうか。

ほとんどアタリも無くみんなの集中力も途切れて、心も折れそうになってきたとき。
ここで久々に宮川さんにヒット。
今度のは最初の1尾より大きいぞ。
2尾目を手にして満面の笑みを浮かべる宮川さん。

そしてさらに斉田さんに大物アマゴが来た!
強烈な引きにも太糸の源流仕掛けで余裕の対応を見せる斉田さん。
惜しくも尺には届かない29cmだった。
写真を撮るときも、しっかりドヤ顔になってるし。
かっこいい雄のアマゴだった。
お見事、斉田さん。

そんなのを見せられたら釣り人魂の消えかけた炎も、再びメラメラと燃え上がった。
ここまで1尾しか釣ってないのは自分だけ。
ホントはそろそろ帰ろうか・・・なんて話をしていたのだが、良型2尾を見せられてもうひと頑張り。
張り切って先頭に出て釣りあがる。

・・・が、残念ながら釣れなかった〜。
場所的には中俣沢出合はもうすぐなのだが、そろそろ戻らないと約束の時間に大幅遅刻になってしまう。
後ろ髪を引かれながらも竿を仕舞ってテン場へと急いだ。

























  なかなか渓相が良くならない。
  我慢の釣りが続く。

深場を探る斉田さん。
























  宮川さん、2尾目。
  お見事!

























  そして斉田さんに大物!
  尺にはわずかに足らなかったが、
  素晴らしい魚体の雄アマゴ。

いい型だなぁ。
うらやましいぞ。

いいポイントなんだけどなぁ。

























結局、三俣のすぐ手前までで時間切れ。
テン場に帰ってまったりしよう。

西河内隊の様子

Photo by Hirasawa
西河内を釣る森さん


Photo by Hirasawa
新会員の福田さん
彼はフライで挑戦



Photo by Hirasawa
誰も釣れないときでも必ず釣る高橋さんだが、
今回は釣れなかった・・・



Photo by Hirasawa
スノーブリッジが出てきた。

テン場に戻ると、すでに西河内隊が焚き火を起こしていてくれた。
すぐに着替えてまったりする。
西河内隊はなんと全員がボウズだったようだ。魚影は見えたらしいのだが、ほとんどアタリも無かったとのこと。
う〜ん、どっちも渋いなぁ。

こちらで3尾キープしてきたのがあって良かった。さっそく板長の腕をふるってもらい、アマゴの刺身を堪能する。
イワナの刺身はよく食べるけど、アマゴは初。
さすがアマゴちゃん、美味〜!
残った骨は骨酒用に焚き火で焼き枯らす。岩魚の2尾も同じく遠火でじっくりと焼いた。

私が持っていったコシアブラとコゴミを天ぷらにしてもらい、舌鼓を打つ。
みんなの持ち寄った食材も次々に出てきて、まだ明るいのに満腹に近い状態。
酒も大量にあって、私以外の酒好きにはたまらない宴会だった。

それにしても来ると思っていた八木さんが来なかった。
熟知した地元の渓だし、車も止まっているのだから間違えはしないと思うけど・・・。
用事が出来て来れなかったのだろうか。

そんな心配もしたのだが、焚き火を囲んで新しい仲間たちとの話も尽きない。
一人、また一人を撃沈していって、最後は誰だったのだろうか。


新しい仲間が加わって、賑やかなテン場。
八木さんどうしたかな。
来ないな・・・。


今夜も盛大な焚火が闇を照らす。
仰ぎ見る夜空には輝く月と煌めく星々。
素晴らしい渓の夜。

夜明け頃、ちょっと寒くて目が覚めたが、シュラフに潜り込んでもう一眠り。
目が覚めたら誰かが焚き火を起こしていてくれた。

シュラフから抜け出してコーヒーを入れて焚き火にあたる。
渓で迎えるこの朝のひと時も、まったりして大好きな時間だ。

日が高く昇るにつれて、みんなが起き出してきた。
朝飯を食べて今日の予定を考える。
福田さんが昨日やってない本流をやりたいと言い、出発していった。

だらだらしていたら、ザックを背負って誰かやってくる。
なんと八木さんだ。まさか昨日来れなくて朝出てきたのか?
いや、話を聞いて驚いた。昨日に左岸の道を伝ってもっと上流へと行っていたという。
よく打ち合わせをしていなかったので、我々がもっと上流に泊まっていると思っていたようだ。
左岸に小屋があると聞いていたが、そこらにいると思ったらしい。
いやぁ申し訳ない。てっきり渓通しで来るものと思っていたので。
昨夜は一人で泊まったのだという。
たった今、降りてくる途中で福田さんと会って、話をして分かったのだという。

まあ焚き火にあたって、まったりしていってください。

腰を下ろした八木さんが、ザックをゴソゴソとやっている。そこから出てきたのは、なんとカツオ!
こんなに上等なブツを我々のために担いできてもらったのに、会えなかったなんて。
ますます申し訳ない。
板長に切ってもらい、みんなで(あ、いや福田さんはいないけど)美味いカツオを山奥の渓で食べる。
昨日はアマゴ、今日はカツオ。最高の贅沢だ。

さて、斉田さんが西河内を釣りたいというので、昨日の本流組みでお供する。
昨日、高橋さんたちが竿を仕舞ったところまで歩いて、そこから釣るつもりだ。
こちらのほうが本流よりも渓相が良さそうだ。
でも、やっぱり魚は走らない。

で、予想通り誰も釣れなかったのだ。
まだ時期が早かったかなぁ。
すたすたとテン場に戻って昼飯を食べて撤収〜。

帰りは八木さんのハイペースに引っ張られて、2時間で車止め。
さすが八木さん。相変わらずの健脚だ。

自分は最後の登りで息も絶え絶えとなり、なんとか車に辿りついた。

魚は渋かったけど2日間とも素晴らしい晴天に恵まれ、新しい仲間もできて楽しい渓行だった。
焚き火も盛大にすることができ、美味しいものも食べられて満足だ。
また今年もたくさんの渓で楽しく釣りができることを願って帰路についた。

信濃俣のテン場。
大人数なのでブルーシートまで動員。
8人が快適に眠れた。

信濃俣で釣れたイワナ・・・じゃなく、太平洋のカツオ。

美味かったです。
八木さん、ごちそうさまでした


ようやく会えた八木さん。
焚火を囲みたかったですね。
次回はぜひ!


























西河内を釣り上がる宮川さん。
こちらのほうが落差があって、渓相が良い。

昨日、仲間が竿をしまった辺りから釣り始めたのだが、
全然アタリがない。


雪渓が渓を埋める。
いそうなんだけどなぁ。

しかたないから煌めく流れを撮ってみる。
シャッター速度を遅くして、いい感じに撮れるところを探る。
























結局4人ともボウズ (^_^;)

テン場での記念撮影。
左から、八木さん、福田さん、宮川さん、高橋さん、平澤さん、森さん、田中さん、斉田さん、高野


楽しい時間はあっという間。

チョー爽快!
八木さんのハイペースに引っ張られて・・・。
さすが八木さん。

目印のつり橋が見えた。

今日も素晴らしい青空だ。
帰りたくないな。


























つり橋でポーズの田中さん。
車まで、もうひと頑張り!

赤石温泉に立ち寄って、汗を流す。
GWに瀬畑さんも立ち寄ったらしい。
ロビーにサインが飾ってある。
ここの湯は良かった。
釣行の際にはぜひ入浴を。

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