ついこの間シーズンインしたと思っていたら、すでに5月も終わり。もう少しでうっとうしい梅雨がやってくる。
梅雨に入る前に清々しい渓を満喫しておきたいと思って、斉田さんたちと釣りに行く計画を立てた。
今回は斉田さん、高橋さん、私の50代トリオに、40代の新入会員、吉田さんを加えた4名。
吉田さんは沢も冬山もクライミングもやるという、すごい人。そんな人が、まったり大好き渓道楽に入会したいとは、どういう理由からかと思って聞いてみた。すると沢登りでは詰め上がって抜けるのが目的なので、ゆっくりと釣りができないからだとか。なんでも吉田さんはアマゾンにまで釣りしに行っちゃうほどの釣り好きらしい。
それなら渓でベースを作って、じっくり釣りをする渓道楽のスタイルが良さそうだ。
大岩魚を釣りたいという吉田さんの希望を叶えようと選んだのは、長野県南アルプスの渓。
水量も豊富で森も豊かだから、もしかしたら大岩魚が釣れちゃうかも・・・。
そんな淡い期待を胸に4人を乗せた車は、中央道をひた走った。
深夜、車止めに到着するとすでに1台の車が・・・。
「あれ、車がいるよ。」
「まさか釣りか?!」
「だったらヤバいよね。」
「寝てるみたいから、あとで聞いてみよう。」
てな感じで、心配ではあったが車内でプチ宴会を開催。
空には天の川が流れ、満点の星空。
都会では見られない宇宙のロマンに、うっとりするオジサン4人だった。
寝たのか寝てないのか、良く分からない感じで夜明けを迎えた。
後から車が来たのだが、夜明け前に数人で出発していった。
女性もいたようだから登山だろう。
気になっていた先着していた車も登山とのこと。
それを聞いて、ホっと胸を撫で下ろすメンバー。
もっともここから釣りに入るような酔狂な輩は、ほとんどいないと思われる。
なにしろ、釣り場まで相当しんどい思いをしないとならないのだから。
出発の準備が整い、車止めからゲートを抜けて林道を歩きだす。
さすがに朝方の山は冷え込んでいる。
やがてここが下降点だろうと思われる地点に到着した。
地図とガーミンで間違いないことを確認して、急な踏み跡を渓に向かってジグザグに降りはじめた。
往路はほとんど下りなのだが、なにせ長いのだ。
長い下りに膝がシクシクと痛みだす。
さらに途中で踏み跡も見失って、いつものように適当な尾根筋を下降した。
途中、ガレ場を横切るところで激しい落石!
先頭を行っていた斉田さんが慌ててよける。
「危なかった〜」
もう少し回避が遅れたら、ちょっとヤバかった。
結構な大きさの岩だったから、当たればアウトだ。
そこからは落石の危険の無い尾根筋を下る。
最後は強引に降りて、ようやく流れに降り立つことができた。
ここまで車止めから3時間半ほど掛かっている。
下りばかりでこのタイムじゃ、帰りはどうなることか。
まあ心配しても始まらない。
幸い降りた対岸にテン場適地を発見。まっ平らで落石の心配もなく、落ち葉もあってなかなか良い。
全員一致でテン場はここに決定。
さっそくタープを設営した。
それにしても標高差800mの下降は非常に疲れた。
なんかもうヘロヘロ・・・。
自分の中でのアプローチのキツさの基準は、初めて行った八久和川の天狗越えルートなのだが、
それに次ぐキツさだったような気がする。
脚の筋力が売り切れた感じだった。
これは帰りが思いやられるなぁ。
そして新人吉田さんは、まずは得意のルアーで攻める。
さすが海外まで釣りに行くだけあって、ルアーを投げる姿も様になっている。
深みを狙ってすぐに良型を釣り上げた。
もう一人、板長高橋さんはテンカラ。
以前はエサ釣りばかりだったが、瀬畑さんと下津に行ってからはテンカラのほうが割合が多いようだ。
そして、高橋さんも良い型のイワナをゲット!
これで全員が型を見た。
4人は疲れも忘れて釣り上がっていった。
すると斉田さんが切れた仕掛けを見ながら、首をかしげている。
「おかしいな、今のアタリだと思うんだよな。」
「どうしたの?」
「アタったと思って送りこんだら、根がかりみたいに重くて・・・。岩に潜られたのかな。」
イワナだったのだろうか・・・。
そこへエサ釣りにチェンジした吉田さんが追いついてきた。
「この淵、やってごらんよ。」
と斉田さんが声を掛ける。
流れに仕掛けを振りこむ吉田さん。
すると、すぐにアワセ動作をする吉田さん。。
とたんに竿がしなる。なんだか重そうな感じだ。
魚を水面に誘導して顔が見えた。
「デカい、デカい!」
思わず私は叫んでしまった。
水面に顔を出したイワナは、尺どころじゃない大きさの頭だった。
慎重に寄せてキャッチ!
体は痩せているが、大物だ。
メジャーで図ると尺2寸!
いや〜、これはすごい。久しぶりの大きさだ。
おめでとう吉田さん!
ただ本人は
「なんか釣ったんじゃなくて釣れちゃったって感じで・・・」
とイマイチ喜べない様子。
まあ、そういうこともあるって。
いいじゃないの、尺2寸が出たんだから。
|
新人吉田さん。
彼のルアーさばきはカッコイイ!
|
イワナを手に笑顔の吉田さん。 |
|
|
高橋さんも良型を狙って竿を出す。
|
|
豊富な水量がイワナたちを育む。
|
|
流れにも変化があり、ポイントも多かった。
|
|
斉田さんの竿に、またまた綺麗なイワナが来た。
|
|
じっくりと狙えば必ず釣れる。
|
|
エサ釣りにチェンジした吉田さんに、ビッグフィッシュ!
|
|
今釣行最大サイズの尺2寸!
このサイズはなかなか出るもんじゃないぞ。
|
次々と釣れるイワナ。 |
|
|
|
さて、そうなると自分も尺物を釣りたいところだ。
気合いを入れなおして釣りに集中する。
その後もみんなの竿にイワナが掛かる。
どれも腹の黄色い居着きのイワナだ。
美しい流れと素晴らしい青空の下、こんなに気持ち良く釣りができるなんて、幸せだった。
落ち込みからの流れ出しにエサを入れて、駆け上がりに流していくとアタリが出た。
ちょっと待ってアワセると、けっこう重い。
竿にまかせて抜きあげて、すぐに河原へ。
むむ、結構良い型じゃん。
測ってみたら尺1寸!
「よっしゃ!」
と思わず声が出る。
斉田さんにカメラを渡して、バッチリ撮ってもらった。
これでもう満足できたぞ。
実はこのすぐ後に、枝にからまった仕掛けと取ろうとして、竿を折ってしまった。
もらいものだったけど気に入ってた竿なので、ちょっとガッカリ。
古い竿だからもう部品も出ないし、あきらめるしかないか・・・。
最後に尺1寸を釣ったから、良い人生(竿生?)だっただろう。
さて、そろそろ良い時間となったので、テン場へと戻ることにした。
アプローチに時間がかかっているため、あまり釣りをする時間がないのが残念だ。
急いでテン場に戻って薪を集めて、宴会の準備をする。
高橋さんにはイワナをさばいてもらって、刺身にしてもらう。
いつもながら、プロの板前さんの腕前は素晴らしい!
他にも今回は焼き枯らしも作ってみた。
吉田さんがしっかり面倒をみてくれている。
やがて夜のとばりが渓を包み、空には満点の星が輝きだす。
焚火を囲んだ宴会は夜遅くまで続いた。
翌日も快晴。
今日は釣りはせずにまっすぐ帰るだけだ。
だがしかし、昨日の筋肉のバーゲンセールで、脚力はすべて売り切れ・・・。
半端じゃなく辛い登りを、みんなに迷惑を掛けながらの帰路となってしまった。
そして、帰ってからの筋肉痛も辛かった。
こんな思いをしても、今度は2泊で行きたいなぁと考えてる自分がいる。
それほどに楽しい釣行であった。
やっぱり源流はいいよなぁ。
|
気持ちいい〜!
|
|
釣れてくるイワナ、全てが美しい色をしていた。
こいつは8寸ほどだ。
|
|
テンカラで攻める高橋さん。
|
|
そして、ついに私の竿にも!
尺1寸が来た!
|
|
南アルプスの流れに鍛えられた、たくましい魚体。
|
|
|
|
ガンガンの流れをルアーで攻める吉田さん。
この手前で2尾釣り上げていた。
|
|
夜は盛大な焚火。
全員が満足のいく釣りができて、盛り上がった夜だった。
|
|
まっ平らで快適なテン場。
|
|
左から、吉田さん、私、斉田さん、高橋さん。
|
|
ここから車まで延々と登らなければならない。
昨日の下りでかなり筋力を使ってしまい、先が思いやられる。
|
|
降りてきたルートよりも、こちらの支尾根のほうが安全だった。
|
|
|
|
途中で一休み。
私はすでにバテバテ・・・。
この先、写真を撮る余裕もなし(泣)
|
|
林道に出てホッとしたよ。
冬山をやる吉田さんは、全く疲れていない様子。
羨ましい。
|
|
2日間とも好天に恵まれて、最高だった。
|
|
この雄大な山が豊かな流れを作り、イワナ達を育む。
リニアのトンネル掘って、残土を捨てたら許さん!
|
|