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  山形県 朝日連峰の渓
  2015/07/18〜20



  高橋、斉田、平澤






Text     : 平澤
Photo    : 平澤、斉田

7月連休はどこに行こうか? 6月の釣行は、初めての渓への釣行ということもあってか、期待していたほどの結果が出なかった。釣れない渓ではないと思っているので、またの機会に再調査することになるだろう。
期待と結果とのギャップのせいか。海の日の連休は、2泊しないと行けない渓で、必ず尺が釣れるところとなった。
2泊で行く価値のある渓はけっこうあるが、必ず尺が釣れるとなると、それなりに厳しいところとなる。辛いことは承知の上で、朝日連峰のとある渓に行くことになった。

今回の参加者は、またしても、高橋さん、斉田さん、私のアラ6・トリオ。雨が心配な天気を気にしながら、9時過ぎに高橋さん宅を出発。順調に新潟経由で、車止めまでたどり着いた。いつもの通り、軽くビールをあおって、仮眠をとる。

翌朝6時に車止めを出発。前日天気予報では、午後3時まで天気はもつ予報である。過去の実績からすれば、6時間程度でテン場まで行け、単純計算でテン場設営後に1、2時間は雨に濡れず、釣りができる計算である。おのずと気が逸る。
今回は、いつもより手前のゲートが締まっており、前と違った地点から入山となった。それでも想定していたよりも楽に、いつもの杣道にたどり着いた。しかし、この後この山を彷徨歩くことになってしまったのであるが・・・。

朝から曇りだが、とにかく蒸し暑い。以前より不明瞭になった杣道をたどり、休み休み進むこと4時間。高橋さんの水が底をついてしまった。斉田さんも私も、500mlのペットボトルに半分程度しか残っていない。
斉田さんが、ガーミンで残りの行程を確認する。1時間程度で、テン場に降りる支尾根にたどり着きそうである。
その後の下りは、1時間とかからないはず。心もとないが、水は大丈夫ということで歩き出す。

不明瞭になった杣道をたどる

杣道を進んでいくと、道がきえてしまった。全員で道を探していると赤布が見つかり、安堵して前に進むが杣道とも言えないような獣道である。2度目に来た時から5年ほどたっていることもあり、道が消えてしまうほど入渓者も少ないのだろうなどと思いながら、いつものランドマークにしている池塘を横目に1時間ほど進んだ。だが、本来見えてくるはずの支尾根のピークが見えてこない。
さらに進もうとしたところで支尾根がかなり先まで下っているのが見えて、道を間違えてしまっていることにやっと気付いた。しかし、どこで間違ったか見当がつかない。斉田さんが、ガーミンで位置を捕捉しようとしているのだが、いうことをきいてくれない。
本当のところは焦る気持ちによって、自分たちの位置を認識できていなかったのである。喧々諤々の末、目的の方向とは真逆の方向に進んでしまったことをやっと認識。例の赤布に騙されて、間違った方向に進んでしまったのである。

いつ降り出しても不思議のない曇天の空

来た道を戻り、約30分程で赤布の場所まで戻った。方位を確認し、杣道を探しながら進む。水もなくなり焦る気持ちが、再び下る支尾根を間違させてしまった。
すでに8時間を経過。雨が天気予報より早く降ってきた。歩き辛い支尾根をあきらめ、ルンゼから涸れ沢に降りる。涸れ沢を降り始めると、天の恵みか、湧水が流れている。言わずもがな、全員がこの恵みで喉を潤した。
落着きはしたが、疲れはピーク。重い足取りで小沢を降りる。途中、軽く休憩をとりながら、何とか本流までたどり着いた。心配していた川への降り口は7m程の岩場であったが、よく見ると下流側に斜めに降りて行けそうである。滑りそうなので、シュリンゲを立木に括り付け、補助ロープを使って降りていく。20分程かかったが、全員が河原に降り立つことができた。
この後5分ほどで目的のテン場にたどりつく。車止め出発から約10時間。4時前にヘロヘロになって、やっとテン場に着いた。とにかく長かった。

テン場を設営すると雨も強くなってきたため、釣りはあきらめビールで乾杯。その流れでタープの下で夕食の支度となった。
豚しゃぶとラーメンを胃袋に詰め込む。さすが板長、高橋さんが作るものは、どれもうまい。(いつも、調理していただいて、ありがとうございます。)

ほろ酔いだが、極度の疲労のせいで睡魔に襲われる。全員が間もなく、眠りの淵に落ちていった。


2日目は、前夜の雨が嘘のように晴れ渡った。絶好の釣り日和だ。
川に降り釣り始めると、直ぐに斉田さんが9寸のイワナを釣り上げる。今回の釣行では、尺上の魚しか写真に収めないと決め、そそくさと釣り上がる。魚の出方が幾分鈍かったが、ほど無くして斉田さん、高橋さんと立て続けに尺上をキャッチ。2人とも満面の笑みである。

斉田さんが釣り上げた36cmのイワナ

高橋さんも34cmのイワナを

ほどほどの大岩の前を私が探っていると待ちきれなかったのか、高橋さんが直ぐ上の程よい落ち込みを釣りたいと言ってきた。快くOK。高橋さんが振り込むと、1発でキター!。
大きそうなので見物していると、上流に向かって泳ぐ魚体がかなり大きいと見て取れた。40cmはあるだろうか。暫し、やり取りをしていたが、下流に走られてバレテしまった。高橋さんが悔しがったのは、言うまでもない。
聞けば、先に釣った34cmも高橋さんのレコードとのこと。それを優に超えているとなると、多少動揺があったのであろうか。

崩れた雪渓
初回の同じ時期に来た時は、高さ15m以上はあったであろう大雪渓があった場所


崩れた雪渓を慎重に越える

まだ、尺を上げていないため、大場所を譲ってもらった。ほど無くして魚信が。
大きさを感じない引きで水面まで上がってくると、優に尺上サイズ。上げた後にメジャーをあてると38cm。久々の大物を上げることができた。

私も、久々の38cmの大物に喜ぶ
斉田さんにも、38cmがキター

2本の38cmを見て、燃える高橋さん

その後も尺上が釣れるのだが、38cmを超えることはなかった
きわどい雪渓

崩れた雪渓に乗っていたのであろう自然の一本橋を渡る

釣りはこの先の滝までと決めていたこともあり、この辺で戻ることに。
この後、燃える高橋さんのために過去37cm実績がある滝に同行したが、31cm止まりであった。

釣りに満足すれば、次はビール。うまい! 釣果が良いからなおさらうまい! 
今日の夕食は、数種のパスタ。アヒージョ、枝豆、オイルサーディンで酒が進む。
その後は、お決まりの焚火を囲んで、くつろぎの酒をあおる。
かすかに光る星を見上げながら渓の夜が更けていった。

今夜の夕食も支度してくれる高橋さん

煩悩燃やす焚火
止められない


翌日は、明け方から雨。さあ帰らないと。手際よく撤収をし、8時半頃には降下予定であった支尾根をさがし出して杣道を登る。この急斜面は1時間半ほどで主尾根まで到達できたが、帰りも道をところどころ間違え6時間を費やして車止めまで戻って来た。

今回の渓は3度目。過去の釣行おいては道が難しいことを念頭に準備段階から慎重であったが、今回は3度目ということもあり地図も持たず記憶を頼りに行動していた結果、斉田さんが持参したガーミンや地形図のお世話になることになってしまった。
体力の衰えだけでなく、歳と伴に記憶も薄くなっていることを理解できていなかったことは、ただただ反省である。改めて渓に行く際は、十分な準備をすべきであるとの教訓となった釣行であった。


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