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大串さん(左)とクリスさん。そして瀬畑さん。
SNSによって繋がったテンカラの絆。
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待ち合わせ場所で朝一番に拾ってもらい、ゲートの先にある車止めまで送ってもらう。そこから立派なブナの森を歩きだした。
しばらく下ると叶津川の本流へ出た。叶津川は原生林の中を流れるおだやかな渓で、テンカラを振るにはうってつけの渓だ。
ここからテン場予定地まで左程ないので、降りたところからテンカラを振りながら行く。
まずは主役であるクリスさんに釣ってもらいたい。
大串さんが日本の渓流でのポイントや流し方をレクチャーする。
そのアドバイスを理解して、きっちり流れを読んでポイントに毛鉤を打ち込むクリスさん。
そんな彼の毛鉤にイワナが出るまで、さしたる時間はいらなかった。
ふわりと落ちた毛鉤に7寸ほどの美しいイワナが食いつき、物静かなクリスさんも破顔一笑。
まずは1尾釣れて、案内役の面々は肩の荷が下りた気がした。
さらに釣りながら1.5kmほど遡行を続けると、やがて左岸から沢が出合ってくる。
この渓も空がじゅうぶんに開けていて、テンカラ竿を思う存分振れる。
支流に入るとさらにアタリが増えた。
クリスさんがまた良型のイワナを掛ける。
目の前でイワナが釣れるの見た伊藤さんが、我慢できずに竿を出した。
そこからは皆が交代で竿を出しながらの遡行となった。
しばらく行くと瀬畑さんの説明通り右岸にテン場があり、重たいザックから解放される。
このテン場は流れより一段高くなっていて安心だし、目の前の河原でたき火もできる。
夜の宴会も楽しみだ。 |
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車止めからは豊かな原生林の中を行く
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渓に出たところから早速釣り上がる
大串さんがクリスさんにアドバイス
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大きな落差のある渓ではないが、そこかしこに好ポイントがある
まずはクリスさんに釣ってもらいたい
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テンカラを振るクリスさん
その振り込みは正確だった
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クリスさん、早速イワナを釣った!
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伊藤さんも毛鉤を振り込む
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おだやかな流れに癒される
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赤とんぼ
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渓には美しい花がたくさん咲いていた
これはタニウツギ
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可憐なヒメサユリ
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さて、身軽になった我々は、各々が竿を手にして上流に向かう。
それにしてもみなさん、テンカラのベテランだけあって上手い。
初めて会った鶴見さんも、素晴らしい振込みを見せてくれる。
そんな姿に見惚れていると、バシャっとイワナが出る。
手慣れた動作で手元に引き寄せてくる。
クリスさんも次々とイワナを掛けてくれる。
だが、バーブレスの毛鉤なので、写真を撮ろうとする瞬間にバシャバシャと暴れて逃げてしまう・・・。
バーブレス毛鉤は魚には優しいが、カメラマンには厳しいのだ。
それでもたくさん釣れるので、シャッターチャンスには事欠かない。
やがて渓が大きく左にカープして東から西に流れの向きが変わったところで、一つ目の雪渓が渓を塞いでいた。
只見は名にし負う豪雪地帯。夏でも遅くまでスノーブリッジが残る。
雪渓の下を覗くが、くぐるのは無理そうだ。
越せるかどうか、大串さんが偵察で登ってみる。
「どう? 大丈夫そうですか?」
「うん、なんとか降りられそうです。」
よかった。ここで終わりじゃあまりに早すぎる。
5人は慎重に乗越っし、再び流れに立った。
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身軽になってテンカラを振る
すぐまたクリスさんがイワナを掛けた!
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鶴見さんも竿を出す
きれいなループを描いてラインが伸びていく
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あっというまに鶴見さんにもヒット
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綺麗な天然イワナ |
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伊藤さんも真剣に釣る
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緑に包まれた清冽な流れ
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見上げるとモミジの新緑が輝いていた
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雪渓が行く手をふさぐ
どうやって越えるか協議中
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左岸の斜面をよじ登り、雪渓を越えた
下りは慎重に
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鶴見さんもきて、全員無事に越えられた |
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雪渓を越えて、さらにアタリが増えた気がする。
尺を超えるような大きいのは出ないが、8寸くらいのがよく釣れた。
クリスさん、伊藤さん、鶴見さんと先頭を交代するたびにイワナが毛鉤をくわえる。
どのイワナもとても美しい姿だ。冬は深い雪に埋もれてしまうような渓で、何世代も命をつないできたイワナたち。
よくこの厳しい環境で生きていけるものだと感心する。
しかし7月ともなれば、そんな厳しい渓にも少し遅れた夏がやってきて、イワナたちも盛んに毛鉤を追う。
木々の緑も萌木色から少しずつ濃くなって、流れの際にはタニウツギやヒメサユリといった、可憐な花が彩りを添えていた。
私は、この季節の渓流が一番好きだ。
そんなことを思いながら大きく蛇行する渓を釣りあがると、一つ目から1kmほどのところでまたまた雪渓が通せんぼする。
聞いた話によれば、三つ目の雪渓の先は釣りにならないらしい。
次の雪渓はどこにあるのか。
残念なことに三つ目は、そこからすぐに現れた。
渓が狭まり流れが絞られた先に雪渓があった。
その手前は少々深くなっていて、よさそうなポイントだ。
最後なのでここはクリスさんに釣ってもらおう。
彼が静かに忍び寄り毛鉤を振り込むと、一発で出た。
しっかりとアワセて今日を締めくくる。
体側にピンクとも橙とも見える美しい宝石を散りばめた、きれいなイワナだった。
さあ、クリスさんにも満足してもらえたし、戻って宴会しよう。
越えてきた雪渓をよじ登り、軽やかな足取りであっという間にテン場に着いた。 |
雪渓を越えたところで、すかさず釣りあげた
クリスさんのテンカラの腕前はかなりのものだった |
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毛鉤をくわえた良型イワナ
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伊藤さんにもいいのが出た |
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つぎつぎイワナを釣るクリスさん
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これもいい型だぞ
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こんなにも美しいイワナがいる只見の渓
いつまでも守っていきたい
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