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  長野県 魚野川
  2016/05/03〜05



  斉田昌男、高橋秀一、平澤章弘、田中謙次郎
  福田克雅、吉田雅樹、高野智





Text & Photo  : 高野

今冬の雪の少なさは今まで経験したことないくらいだった。そんなわけで例年のゴールデンウィークにはとても入れない源流にも行けるんじゃない?と秘境秋山郷の魚野川に行ってきた。
この渓は有名だから、行ったことのある方も多いと思う。
下流は中津川と呼ばれ、その源流が魚野川だ。
秋山郷は本当に山深くにあり、近年になって国道が整備されるまでは、まさに陸の孤島であった。
それゆえ人々の暮らしはとても厳しく、飢饉によって村が全滅したという悲惨な歴史もあった。
もちろん現代においてはそこまでのことはない。

さて、国道405号秋山郷のどん詰まり、切明温泉の車止めで斉田さんたち待ち合わせ。軽く乾杯して仮眠した。

目覚めると空は晴れ渡り絶好の釣り日和。準備を整え出発する。
20分ほどで林道も終わり吊橋を渡るのだが、なんと床板がない。冬季は外しているのだろう。
揺れる吊橋の角パイプの梁を渡るスリルが味わえた。

橋を渡ると登山道となり、やがて急登になる。ここさえ越えてしまえばあとは有名な水平歩道だ。
平らなら楽チンとなめていたら、ダムに着くころにはかなり疲れていた。
久しぶりに歩いたからだろうか。

今日は千沢との出合のテン場を目指す。
渋沢ダムを渡りもう一つ吊橋を渡る。幸い今度のつり橋は床があった。
あとは魚野川を遡行していく。少雪とはいえまだまだ雪が残っているから、それなりに流れは強く慎重に渡渉を繰り返す。
せっかくだからと竿を出しながら行くと、やがて千沢出合が見えてきた。広々した砂地はテン場には絶好の場所だ。
ただブルーシートのデポは、いただけないなぁ。

円陣組んで行くぞ!

























スリリングな吊橋

急登を行く若手2人























水平歩道には数か所の隧道がある
ここは渋沢ダムの工事用軌道跡
だからほとんど水平な道なのだ
隧道は素掘りで真っ暗だった

やっと渋沢ダムに着いた

本流を遡行しながら竿を出す斉田さん
流れはいい感じなのだが、イワナは出ない・・・

テンバ目指して進む


すぐにタープを張って釣りに出発。本流組と二手に分かれて、自分は千沢を釣る。
テン場のすぐ上で、いきなり高橋さんの毛鉤にイワナが出た。8寸以上ある良型だ。
写真撮ってリリースしていたら、福ちゃんが立派な尺イワナを釣っているではないか!
テン場の目の前で立て続けにいいのが出て、これはこの先の流れは楽園か?

が、そうは問屋が卸さない。ガンガン釣れるかと思った千沢は、その後しばらく沈黙。
でも、自分の竿に8寸の綺麗なイワナが出て、ホッと胸をなでおろす。
ここからまた釣れてくれよという釣り人の願いは届かず、F1まで来てしまった。
エメラルドグリーンの滝壺は、いかにも大物が潜んでいそう。
大きめのオモリに換えてドボンと沈める・・・。
そして待つ、待つ、待つ・・・もう待ちくたびれたよ。
「釣れないよ〜、もう! なんだよこれ!」
いいかげん嫌になったし時計も2時を回ったのでテンバに戻るとするか。

右岸の高いところでケンちゃんがなにやら粘ってる。
「おーい、もう釣れないから先帰るよ〜」
それに手をあげて答えたから、一足先に山菜でも採りながら戻るとする。
途中の斜面でコゴミを採ってテンバに引き返した。水平歩道でもタラノメ、コシアブラ、ハリギリ、ウドとかなり仕入れてるので、今夜の夕食が楽しみだ。


























高橋さんにいきなり来た!



























すぐ上流で福ちゃんに尺物が!


やっと自分にも釣れた
いい顔してるぞ

誰も写真撮ってくれないからイワナだけ撮る(笑)
千沢のイワナは美しい


千沢F1
奥の地層、すごいな・・・

























ケンちゃんの釣果
一番デカイのは尺一寸だ
毛鉤をくわえる無垢なイワナ
板長の刺身は最高だよ!
鍋もあるでよ
GWの渓はさすがに寒かった
こんなときの鍋は最高!


そして焚き火
今宵の焚き火も素晴らしい!


























炎のビリーカン

みんなが寝静まった深夜、突然の雨がタープを叩く。
その音に目覚め外を覗くと、かなりの勢いで降っていた。
雨は明け方になっても降りやまず、これは今日はだめかと誰もが思った。
しかし、やがて雨は小ぶりになり完全に止み、素晴らしい青空が広がったのだ。
全員が小躍りして喜び、すぐに飛び出していった。

今日は本流を釣る番だったので、そちらへ向かう。しかし夜半からの雨に本流はかなりの増水。
スクラムを組んで渡渉しようとするが、あぶなく流されそうになった。
これじゃとても上流には行けない。
あきらめてまた千沢を釣ることにする。しかし全員が千沢だとちょっと無理が・・・。

でもここしかないのだから交代で釣り上がった。


夜半の雨が信じられないような、素晴らしい好天になった

























吉田さんのルアーに早速ヒット!

いつも静かに狙う平澤さん
また吉田さん
雨で活性が上がったか?

幸い、本流ほど増水していなかった

























平澤さんにも千沢イワナが来た

斉田さんも好ポイントに竿を出す
少雪とはいっても、やはりここは豪雪地帯
まだ雪渓が残る



千沢でも水量は多く、渡渉できない流れもある

そして再びのF1。
しかし沈黙・・・。
岩をよじ登り轟音をたてて流れ落ちるF1の前に立つ。
各々が思い思いのぽいんとへと仕掛けを投じた。
だがここも思ったような反応はない。
どう見てもここには多くのイワナが溜まっているはず。あの滝を簡単には越えられないだろう。
しばらく粘るも一人また一人と竿を仕舞った。
最後まで粘る斉田さん。
そして、ついに竿がしなる。
大物か?!
全員の視線が突き刺さる中、静かに顔を出したのは9寸のイワナだった。
残念ながら主は出なかった。ここに居ないはずはないのだが・・・。

まだお昼前だったけど、この滝を大高巻きするのも面倒な気がして、テンバへと引き返した。
釣りへの執念が足りないかもしれないが、そこそこ釣れれば満足なのだ。

あとは渋沢へも行ってみたが、瀬が続くばかりでイワナの気配もない。
もともと居ないとも聞いているから、ろくに竿も出さずに山菜だけ採って帰ってきた。

さ、まだ時間はたっぷりある。今夜も焚き火を囲んで盛り上がろう!


F2の大場所に大物を狙う
昨日はここには竿を出していない

主はどこにいる?

左のえぐれから来た!
でも、主とは言えないサイズだった


F2をバックに

記念撮影タイム
結局主には無視されたようだ



























大高巻きも面倒なのでF2まで釣って終了
あとは宴会〜
ケンちゃん、働くねぇ!

今日はイワナフライ

そしてステーキも

美味そう〜
いただきます!



























焚き火の似合う男

実はこれケンちゃんの結婚祝い(笑)
板長は今日も大活躍
次々と山菜のてんぷらが揚がる



























今宵の焚き火も燃え盛る
最後の夜も盛大に

左から高橋さん、斉田さん、吉田さん、平澤さん、田中さん、福田さん、高野
今年もたくさんの渓で、たくさんの思い出を作ろうぜ
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