焚き火の起こし方
焚き火には不思議な魅力があります。焚き火を囲んで仲間と夜がふけるまで語り合う。これは山釣りの楽しみの一つです。また、山での料理は焚き火で作ることが基本になります。最近はガスコンロ等の便利なものもありますが、燃料を持ち込まなくてはなりません。少しでも荷を軽くするために焚き火で料理をすることをお勧めします。
もちろん焚き火によって暖を取ることもできますし、なにより非常時のどんな状況でも焚き火が起こせるというのは、たいへん心強いことです。
ここに紹介する焚き火の起こし方は、渓の達人である川上健次氏直伝の方法です。この方法ならば薪が湿っていても、少々の雨が降っていても確実に火を起こすことができます。
1.薪を集める
まずは薪を集めないといけません。ただ集めれば良いものでもなく、細い枝から太い枝まで5種類を集めます。太さは下の写真を参考にしてください。目安のためにタバコを置いてあります。
![]() |
![]() |
|
小枝 直径1〜2mmまで | 中枝 直径5mmまで | |
![]() |
![]() |
|
大枝 直径1cmまで | 小マキ 直径1〜2cmまで | |
![]() |
||
大マキ 直径2cm〜4cm以上 |
2.火をつける
![]() |
![]() |
|
まず最初にガムテープを10cmほどの長さに 切り輪にする。これを2つ作り火をつけて焚き 火床におく。 |
次に火のついたガムテープの上に小枝を乗せる。 量は両手で掴めるくらい。 このときガムテープ全体に火がまわってから枝を 乗せるようにする。 |
|
![]() |
![]() |
|
小枝の上に中枝を乗せる。方向は小枝と同じ 方向で。 |
次に大枝を乗せる。 | |
![]() |
![]() |
|
小マキを乗せる。 | 大マキを乗せる。あっという間にここまで燃え上 がった。 |
|
![]() |
たったこれだけのことです。ポイントは火種となるガムテープと薪の太さです。できるだけ細い枝から始めれば簡単に火がつきます。ガムテープはゆっくりと燃え、なかなか消えません。
また、薪が湿っているときほど細い枝を使いましょう。
薪を乗せるタイミングですが、次から次へとドンドン乗せて行きます。火が大きくなっていなくても、煙が出ていれば大丈夫です。上の写真を見てもわかるように、モクモクと煙が出ている状態で次の薪を乗せていますよね。
もう一つポイントですが、薪は川と平行方向に置きます。これは風(空気)の流れを考慮してです。だいたいが風は川と平行して流れています。薪を風の流れと平行にすることによって、新しい空気が薪の間に入り込み火がつきやすくなるのです。
実際は最後に、上の写真よりも太いマキを置くことによって、その上にナベ等を置いてもひっくり返らないようにできるのです。そうすれば十分焚き火で料理をすることができます。
火が大きくなってしまえば、川の中に落ちている濡れた流木であってもマキとして使うことができます。濡れていることによって、かえってゆっくりと燃えて長持ちしてくれるのです。
3.焚き火の後始末
![]() |
十分に広げて燃え残りを石や木でたたいて消す。 |
都会に暮らす私たちは、いつかは住処に帰らなくてはなりません。いつまでも渓で遊んでいたいのはヤマヤマですが、そうも行かないのがつらいところです。
テン場を片付けるときに焚き火の後始末をするわけですが、できるだけ水をかけて消すのは避けましょう。なぜかというと、水をかけてしまうと次に来た人たちが、すぐにはそこで焚き火をすることが出来なくなってしまうからです。そうすると別の場所でやることになり、テン場は焚き火の跡だらけになってしまいます。
写真のようにしても、なかなか焚き火が消えないときは砂をかけて消します。
テン場を片付けるときになっても、太いマキが燃え残っているような焚き火はスマートな焚き火とはいえません。熟練者ほど必要な分だけマキをくべて焚き火をするものです。