ピンソールの製作者の竹濱さんからモニターを頼まれた新製品”ピンソール・ミニ”。インプレッション2で紹介したように、今までのピンソールのかかと部分だけのような形状をしていて、さらに手軽に装着して使用することができる。
つま先部分のプレートが無くなってしまい、性能はかなり落ちるんじゃないの?と考える読者の方もいらっしゃるかと思う。そこで実際に使用してみてのインプレッションをお読みいただきたい。
今年に入ってミニを使用したのは2回。一度目は新潟の渓で、ここは渓までの林道歩き等のアプローチは無く、車からすぐに渓入り口という場所なので、使用したのは山菜採りでのことである。
釣り終わってから渓沿いにウドが生えているのが目に入ったが、生えているのは2〜3mの高さの泥斜面。斜度は普通には立っていられないくらいの斜度であった。
当然、フェルト底のシューズでは登ることが出来ず(チャレンジしたがズルズルと落ちてきてしまう)ピンソール・ミニの出番である。
装着はつま先部分からスポッと通し、かかとにベルトを1本回して締めるだけと、至極簡単だ。着けるのにコツも慣れも必要なく、誰でもすぐに着けられる。説明書すらいらないほどだ。
ミニは土踏まずか踵部に着けることができる。私は土踏まずに着けてみた。
早速泥壁に取り付いてみると、グイグイ登れる。ピンソールに比べて性能は落ちるんではと思っていたのだが、全くそんなことは無い。何かに掴まっていなくとも、立っていることが可能になるほどグリップは良かった。
次に使ったのは福島の渓で、ここでも山菜採りに大活躍。泥斜面のウドやウルイを採るのに大変役に立った。また何箇所も雪渓がありそこでも試してみた。さすがに雪は厳しいだろうと思ったのだが、雪渓の上でもしっかりとグリップしてくれたのには驚いた。
さらに帰りに渓から上がるところでも活躍してくれた。渓から上がる場所は2mくらいの高さで粘土質のズルズル斜面。仲間の1人がウェーディングシューズでトライしたが、いきなりズルっといってしまい、登れない。ピンソール・ミニを着けた私がやってみると、あっけないほど簡単に登ることができる。ミニとは言え、あなどれない性能である。
使ってみた感じから、性能的にはピンソールに匹敵するほどのもので、釣りの際に滝を高巻く場合などにも全く問題なく使えると思う。たった4本しかピンが無いのに、ピンソール・ミニがあると無いとじゃ大違いだ。
では気になった点はと言うと、ピンソールに比べてプレートが土踏まず部しかないので、着けっぱなしで渓の中を歩くと歩きづらい。ピンソールはつま先と踵にピンがあって、靴全体が同じ高さになるのでそれほど違和感は無いのだが、ミニの場合はフラットな岩などの硬いところに乗ったときに、ピンの部分だけが盛り上がった感じになるので違和感があった。しかしこれは硬い岩盤や岩の上だけのことで、ミニの活躍する土の上ではピンが地面にめり込むので、問題は無いだろう。そもそも着けっぱなしで渓を歩くのは想定外の使い方のはず。
あとはやはり値段だろう。これで3000円代の値段であると大変嬉しい。だがそれほど大量に売れる物ではないことや、作りが過剰品質ではと思われるほどしっかりしたものなので、5000円くらいの値段設定は仕方が無いことだとも思う。
ピンソールに比べて装着しやすく、それでいて性能的にはほとんど変わらない新製品の”ピンソール・ミニ”。持っていても重さも感じないくらい軽く、ザックの中に一つ入れておくだけで怖い思いをすることはグッと減ることだろう。
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実際に使用したときは土踏まず部に装着した |
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とても頑丈でシンプルな作り |
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ピンはピンソールと同じ大きさだ |
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試しに着けてみたところ |
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